夢ノートに見る“書くこと”を使った自己催眠

映画の『チア☆ダン ~女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話~』では、天海祐希演じるチアダンス部顧問の教師が世界制覇を目指すにあたって、部員に夢ノートを配るシーンがあります。夢ノートは、先日惜しまれながら引退したイチロー選手など多くのスポーツ選手らが使っているモチベーション維持向上の手法です。

未来の自分についての夢をまず書き込み、そのために何をするかを書き並べていく一方で、日々の自分の取り組み対する肯定的なコメントを日記のように書き込んで行ったりもします。この手法の認知度は非常に高く、将来の可能性を秘めたアスリートなど(ロボット競技や将棋などの分野も含まれています)の若者たちを紹介するドキュメンタリー番組『ミライ☆モンスター』でもかなり頻繁に夢ノートが登場します。

シカゴ大学のベイロック博士らの研究によれば、不安を書き出すことは、それだけで解消につながることが分かっています。具体的には、テスト直前の10分に試験内容のどの部分がどう不安かを書き出した被験者の成績が向上したのです。ノートに書き出す作業を集中して行なえば、催眠誘導の「凝視法」や「集中法」が働きます。

膨大な情報処理を常に並行して行なっている無意識に対して、その処理内容のハイライトを抜き出して記憶することが意識の役割と言われています。ですので、単に催眠誘導の手法としてノート作成作業が役立つのみならず、不安や各種の感情の中に埋没しそうな前向きな気持ちを広大な無意識の広がりから抽出して再度書き込む作業としてノート作成が役立っていると見ることもできます。

いずれにせよ、夢ノート作成は、有効な自己催眠手法となっているのです。