「必ず成功する」と言う暗示 ~結果型暗示の落とし穴~

有名な経営者の多くは、「自分は必ず成功する」、「何をやっても上手く行く」と信じ込むようにしていると、成功哲学の書籍に書かれています。これは自己催眠です。

彼らの周囲には、“相互扶助組織”とでも呼ぶべき、成功者のネットワークがあります。彼ら自身も成功に向けた努力を相応に重ねています。自分を支える環境があり、努力も重ね、おまけに信念まであれば、或る程度の成功は当り前です。

問題は、努力をしない人々が、成功哲学や自己啓発の書籍に感化され、ただ「必ず成功する」と自己催眠をかけるケースです。「類は友を呼ぶ」筈なので、努力しない人の周囲には同様の人々が集まっているでしょうから、相互扶助組織も望み薄の筈です。

明らかに実現しない暗示を入れ続けると、無意識上の認識と現実がどんどん乖離して行きます。普通ですと、イソップの「酸っぱい葡萄」のような、認知的不協和に対する合理化が発動されます。しかし、催眠で強く深く無意識内に形成された認識は、逆催眠となって、「どんどん失敗する」、「誰かが自分を陥れている」と言った逆の強い認識へといずれ反転します。

最近は、「よく歩く」、「『ありがとう』とすぐ口にする」など、具体的な個別の習慣を変えることを薦める書籍も増えてきました。個別の習慣なら、催眠で簡単に自分に定着させられます。これなら儘ならない現実と乖離したりしません。“結果型”ではなく“プロセス型”の暗示なら、問題は全く起きないのです。

対象者の状況に応じて、“結果型”と“プロセス型”を使い分ける。意外にこの辺にも、効く暗示のコツがあるのです。