催眠状態も心理状態としては多々ある変性意識状態のうちの一つです。吉田かずお先生の催眠の考え方(吉田式催眠観)では、必ずしも催眠術師が施術して発生する催眠状態だけではなく、変性意識状態の無意識に書き込まれた暗示が実現すること全部を指して「催眠(現象)」と呼んでいます。
その「催眠状態を含む変性意識状態」の際に、どのような脳波が出ているのかについて研究が重ねられています。脳波は周波数の高いものから以下の5種類に分類されています。
■ガンマ波(γ波):周波数30Hz以上 緊張時、(イライラ時も含む)興奮時
■ベータ波(β波):周波数14~30Hz 目を開いた状態での思考時
■アルファ波(α波):周波数8~13Hz リラックス時、目を閉じた安静時
■シータ波(θ波):周波数4~7Hz 強い眠気を伴う覚醒時や浅い睡眠(レム睡眠)状態、集中作業時など
■デルタ波(δ波):周波数0.5~4Hz 熟睡状態(ノンレム睡眠)や麻酔時、また幼児期には多くみられる波形でもある
このように見ると、睡眠時はθ波とδ波が見られるのに対して、催眠時はθ波のみとなりそうですが、実際には異なります。深催眠時に安静にしているとδ波になることもあります。反対に浅い催眠状態ではα波も出ますし、暗示を与えているとその暗示を受け容れつつ考えているためか、β波が見られることさえあるのです。
こうした実験時に緊張系の催眠状態をテストの範疇に入れていないと考えられますので、緊張系の誘導を行なった直後の変性意識状態はγ波を示す可能性もあるかもしれません。仮にそうであるのなら、変性意識状態の脳波は5種類すべてが見られることになってしまいます。
それに対して覚醒状態と睡眠状態は固定したグループで、移行時にα波やθ波の状態を推移している不安定な状態が変性意識状態と捉えることもできなくはありません。就寝時に暗示を入れるのが自己催眠の最も基本的な手法ですが、それは覚醒状態から睡眠状態に移行する途上で変性意識状態ができるからと考えることが一応可能です。
しかし一方で、こうした脳波の研究結果から、変性意識状態というものは存在しないとする「非状態論」が催眠に対して唱えらえることともなっているのです。
☆参考書籍:『はじめての催眠術』
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