リモートで行なう催眠施術

新型コロナウイルス禍下で人々の間の物理的な接触が断たれ、各種の会合まで(物理的に遠くにいるなどの理由がなくても)リモートでPCやスマホの画面越しに行なわれる機会が増えました。それと共に、リモートでの催眠施術の打診も増えています。

リモート催眠施術は技術的に不可能ではありません。新型コロナウイルス禍下の遥か以前ですが、吉田かずお先生も電話の音声情報だけで催眠施術をしてきています。しかし、電話がスマホやPCに代わって、画面の動画情報が見えるようになったとしても、全身全体を見渡すことも難しく、気配や息遣い、細かな痙攣や不随意運動など、多様で微細な情報が対面の場合に比べて圧倒的に不足しがちであるのは変わりません。

吉田先生も電話催眠施術を行なう相手は、既に1度以上催眠施術をしている相手に限り、それも本人がそのように希望した場合に限ると決めていました。1度掛けた相手であれば、被暗示性の程度や施術時の反応が一応分かりやすくなるからです。

それでも、リモート催眠施術の問題は残ります。催眠誘導は仮にうまくいかなければ(吉田式催眠観ではかからない相手はいないという前提で施術しますが)依頼ごとキャンセルすることも一応できます。しかし、暗示を入れてから、たとえば、激しく痙攣を始めたりするなど、不測の反応が起こる可能性はゼロではありません。暗示の書き込みが無事終わっても、覚醒しないということも起こり得ます。

さらに先程書いた痙攣のような状態が起きた時に、たとえば椅子から落ちて周囲の何かにぶつかるなどして事故が発生したりする可能性さえ考えられます。リモート催眠施術は、安全確保の面で非常に多くの問題の可能性を孕んでいると言わざるを得ません。

原理だけで言えば、催眠CDや催眠動画も同じですから、リモート催眠施術も何らかの免責契約を交わしてから実施するということもできるでしょう。相手のそばに誰か親しい人が待機していてもらうようにするなども有効な対策の一つです。ベッドに寝た状態で施術を受けてもらうことや、複数のカメラで画像を多角的に捉えられるようにしてもらうなども、一応考え得る対策です。

リモート催眠施術に関して、吉田先生や私のように、最低でも1度以上対面での施術をしたことがある方しか対応しないのは、かなり妥当な前提条件なのです。