着目される“インサイト” 無意識の新しい呼び名(2) 実践編

最近マーケティング系の書籍などで紹介されることが増えているインサイトは「人を動かす隠れた無意識の構造」です。インサイトを用いた販売の手法は、ネット通販が全盛になり、AIなどの先端技術が販売に導入されても、人間の売り手しか実現できないことだと言われています。それはどういうことでしょうか。

まず、以前このブログにも書いた人間の感情の伝達と理解の方法を考えてみましょう。

「箸を縦に咥えたグループと、横に咥えたグループに、同じマンガを読ませて、その面白さを評価させると、箸を横に咥えたグループの点数が高くなる」という実験がドイツの大学で行われました。横に咥えた人々は、表情が笑い顔に近くなっています。するとマンガが楽しく感じられるのです。この結果から、人間は楽しいから笑顔になるのではなく、笑顔を作ると楽しくなるのだと分かります。

さらに、米国の大学の研究では、「人間は、第三者が笑っているのを見ると、まず無意識がその笑顔を自分に移し、その結果、笑顔が楽しい気持ちを発生させ、楽しい感情が自分のものになり、その第三者の楽しさを理解する」というメカニズムが分かったのです。これは他の感情でも同じで、人間は共感を通じて相手を理解しているのです。

高度な技術がどんどん世の中に浸透し、大抵の買い物はネット通販で済ませられるようになり、物販店舗は急激に業績を落としています。飲食店はケータリングなどの“中食”で代替できます。理美容店は辛うじて店舗にお客が来ますが、その主な理由はお客が非日常感を楽しみたいからだと言われています。実はそれは他の業種の店舗でも同じです。

その非日常感の演出方法が問題です。まるで宇宙空間のような商業施設や、海外の屋台そのもののようなエスニック系飲食店ができたと、ニュースになっていることがありますが、その人気はすぐに衰えやすいようです。それらの施設や店舗の非日常感に足りなかったのは、先程の感情が伝わるメカニズムです。

ワクワクさせる店なら、スタッフ達は毎日お祭り騒ぎの様相にならねばなりません。贅沢なくつろぎを提供するなら、腐女子が集まる「執事カフェ」のような接客をスタッフがする必要があるかもしれません。これがインサイトを用いた販売が「人間の売り手にしかできない」とされている理由なのです。