脳の機能から考える“やる気”と「ズーニンの法則」

何か新たなことをやらなければならないことが分かっていても、なかなか着手できなかったり、ついつい先延ばしにする言い訳を考えたりすることは、誰でも思い当たることではないかと思います。

慣れないことや新しいことを始めることを基本的に脳は嫌います。命の危険などの究極的な理由がないと、脳は現状維持を好むようにできているのです。考えてみると当たり前のことですが、習慣化した事柄は考えずにルーティーンとしてできますし、今までやって安全で結果が出やすいことならば、新たなことをして失敗するリスクを敢えて犯す必要はありません。短期的に見たら、非常に合理的な判断基準です。

脳には「側坐核」という部分があり、ここが刺激を受けると、ドーパミンが分泌されます。ドーパミンは前向きに物事を捉えて意欲高いマインドの状態を創り出します。つまり、側坐核がやる気のカギを握っていることになりますが、問題は側坐核を刺激する方法です。

単に「さあ、やるぞ」と念じたり叫んだりしても、誰かから褒められたりなどしても、側坐核を刺激することにはなりません。側坐核は既に起こされた行動によって刺激されるのです。つまり、やる気はやり始めるから湧くものだったのです。行動を起こすことで刺激された側坐核の状態を「作業興奮」というようです。

米国の心理学者のレナード・ズーニンによる「ズーニンの法則」が知られています。別名『初動4分の法則』で、「一旦起こした行動を4分間続けると、側坐核が刺激され、その行動に対する作業興奮が始まる」というものです。

『やるきに頼らず「すぐやる人」になる37のコツ』には、ランニングの習慣作りのために最初の短時間分の行動である「ランニングウェアに着替える」や「シューズを履く」などの行動をとりあえずやってみることが薦められています。PC仕事であれば、その仕事に使うソフトを立ち上げておくだけでも効果があると説明されています。

催眠の施術の場面を考えると、新たなことに対するやる気を起こさせる場合、それをやると起きる嬉しいことや、やらないと起きる望ましくないことを持ち出して暗示を形成することをつい考えてしまいますが、最初のちょっとした行動を起こすだけの暗示であれば、より受け容れられやすいものと考えられます。