映画『日日是好日』に観る「センス・オブ・ワンダー」の正体

1996年のレイチェル・カーソンの著作『センス・オブ・ワンダー』にはこう書かれています。

「子供たちの世界は、いつも生き生きとして新鮮で美しく、驚きと感激にみちあふれています。残念なことに、わたしたちの多くは大人になるまえに澄みきった洞察力や、美しいもの、畏敬すべきものへの直観力をにぶらせ、あるときはまったく失ってしまいます。
もしもわたしが、すべての子どもの成長を見守る善良な妖精に話しかける力をもっているとしたら、世界中の子どもに、生涯消えることのない『センス・オブ・ワンダー=神秘や不思議さに目をみはる感性』を授けてほしいとたのむでしょう。
この感性は、やがて大人になるとやってくる倦怠と幻滅、私たちが自然という力の源泉から遠ざかること、つまらない人工的なものに夢中になることなどに対する、かわらぬ解毒剤になるのです」

吉田かずお先生は、「小学校低学年ぐらいまでの子供は常時変性意識状態と想定できる」と仰っています。ならば、大人になったら失われてしまうとカーソンの言った「センス・オブ・ワンダー」は、「無意識」の高い処理能力を全開に活かせる変性意識状態の産物と考えられます。

映画にもなった25年に渡る著者の茶道体験をまとめた『日日是好日 「お茶」が教えてくれた15のしあわせ』では、茶道のお点前に集中する主人公が季節ごとの空気の違いに気づいたり、お湯と水の組み上げる音の違いに気づくようになったりしていく過程が描かれています。15の章立ての中にある「見て感じること」、「季節を味わうこと」、「五感で自然とつながること」、「雨の日は、雨を聴くこと」などは、文字通り「センス・オブ・ワンダー」そのもので、主人公にとっての“心の解毒剤”であることが分かるのです。

☆関連書籍:
センス・オブ・ワンダー
日日是好日―「お茶」が教えてくれた15のしあわせ
☆映画『日日是好日』(DVD)