実用催眠術の可能性

“催眠技術研究屋”の名刺を見せて催眠の話をすると、「習いたい」という方がいます。習得の仕方は、催眠術の使途によって変わります。現在、催眠技術の用途は、一番が演芸催眠で、二番が魂や前生だのを語るスピ系催眠、続いて鬱などに対応するカウンセリング系だと思います。

カウンセリング系催眠の分野も、退行催眠が原因分析に限定的に活用されている場合が多いようですが、直截的な暗示を入れて、鬱やドラッグ依存の対応を催眠術だけで行なうことは本来可能です。

集中的な勉強法。単にプレゼンをうまく行なうこと。愛を深める陶酔と悦楽の催眠セックスなども立派な応用分野です。さらに、吉田かずお先生が手掛けた、事件目撃者の記憶回復や末期癌患者のQOL向上のみならず免疫力回復による延命など、数限りない適用分野が存在します。

私は、演芸催眠、スピ系催眠、カウンセリング系催眠の三つを除いた“単独で実益を発生させる催眠技術”として、“実用催眠術”というジャンルが必要ではないかと思っています。

営業の基本書を見ると「心理テクニック」などと題されて、催眠技術が紹介されていることがあります。記憶術の書籍には就寝前に繰り返すと翌朝の記憶保持の割合は高いなどと書かれていて、これも、日を分けて同じ暗示を入れると効果が格段に上がるという、催眠術の常識とほぼ一緒です。

“実用催眠術”の分野の技術の多くは、催眠術として認識されないままに、各々の適用分野の中で既に確立されています。“実用催眠術”を学ぼうとすると、催眠術の基本原理を学んだ後、各々の適用分野に“埋没した催眠技術”を掘り起こす必要が発生してしまうのです。