よく聞かれる質問「催眠で人を殺せるか」(2)

催眠技術についてのよくある質問の中の一つに、「催眠で人を殺せるか」と言うものがあります。今回は「暗示によって人を自殺させられるか」について考えてみましょう。これも答えはイエスです。

カルト教団の集団自殺事件がたびたび発生していますから、事例にも事欠きません。1930年代のドイツのハイデルブルクで起きた、催眠状態の妻による夫の殺害未遂事件では、妻が暗示によって自殺を図り、未遂に終わっています。しかし、これも場合によっては成功し得たものです。この妻は何年も継続的に掛かり付けの医師から催眠をかけられていたのでした。

本能的な倫理観に逆らう暗示でも、倫理観に沿うよう置換したり、深催眠状態を何十度も反復するなどして催眠効果を強化したりすれば、自殺さえさせられると結論付けられそうです。

催眠状態とは言え、上述のような自殺させることは相応に困難ですが、自殺と認識させず、死に至らせることは極端に簡単です。

普通の部屋の中で「前から行きたかったハワイのビーチに来ましたよ」と暗示で入れて、水着に着替えさせることができるなら、水泳が好きな人物に「ここはプールの飛込み台だ。さあ、皆が見ている所で自慢のバタフライを披露しましょう」などと暗示を入れて、ビルの窓から飛び降りさせたりもできるはずです。

吉田かずお先生はよく「催眠の上級テクニックはセンスとアイディアだ」と仰います。「催眠で人を殺すことはできない」と主張する催眠術師は、保身目的に嘘をついているか腕が悪いかのいずれかと分かるのです。

※当記事は、記事中で述べられた催眠実践事例を読者に薦める趣旨では決してありません。