どうしても深酒をしてしまう。催眠技術による対処方針

先日、ほぼ同時期にお二人の男性からほぼ同じ内容のご相談をいただきました。両方とも零細事業経営者で、40代前半です。店舗経営者の男性は町内会など地元の人々との飲み会が頻繁にあり、誘われると必ず行き、翌日の仕事にも差支えるぐらいに飲んでしまうというお話でした。

もう一人はIT系で社員数人の会社を経営していて、こちらは営業活動の一環で知り合いの社長達と飲むことが多く、飲むと翌日に差支えることは勿論、既に健康診断の各種のマーカー値もかなり悪くなっていると言います。

両者共に付き合いを断る訳には行かず、行けばアルハラ程ではないにせよ、どんどん薦められてどんどん飲んでしまう状況になります。では、元々誘いに応じる頻度を下げれば良いのではないかと試しに伺うと、元々酒に溺れたくなるほど、仕事などでストレスを感じており、飲み会に行かないと、自分で買い込んで余計際限なく飲んでしまうと言います。このような状況では、仮に催眠技術で禁酒させられたとしても、風俗やギャンブルなど別の依存的な事柄にのめり込んでしまうことさえ予想されます。

お二人各々のセッション時間の中で、対応方針について揉んでみて、両者共にストレスの軽減を図ることがまずは必要だという結論になりました。やや内向的な性格の店舗経営者の方は、日常生活の中で、自分が感じたことや思ったことを言いだせず内に抱えてしまうことが多いというので、様子を見つつ、「自分が考えたことや思ったことを相手は聞きたがっている」という主旨の暗示を入れることにしました。

IT系の社長の方は元々大学時代にスポーツ好きだったということだったので、スポーツで発散することを目指すことになりました。フィットネスジムは数年前に契約してからかなりお座成りのようだったので、「ジムで昔のように汗をかきたくなる。そうするとスカッと昔のように体調も良くなる」という暗示を入れました。

両者共にたった一回の施術しかしていませんが、その後の様子には相応の改善が見られたようで、飲み会に行く回数も減ってはいないものの、翌日に差支えるほどの飲み方ではなくなったようです。

吉田かずお先生は、病的なレベルのアルコール依存症の対象者に、一升瓶に入れた水を酒と思って飲ませることにして対応したことが何度もあると仰っていました。そこまでの必要のない軽度のアルコール依存には、その個別の原因を叩くようなアプローチも成立することが分かるほぼ同時期の二例だったと思います。

☆参考書籍:『依存メンタルを力に変えるレッスン