セックスと催眠の深い関係 「セックス催眠」と「催眠セックス」

男性が催眠を習いたい本当の理由のうち、相当の割合を占めると言われるのが、女性を誘惑したいというニーズです。明治の文豪である森鴎外が描いた催眠犯罪小説『魔睡』もこのテーマです。見知らぬ人物にも無条件でかけられる瞬間催眠は、ナンパか犯罪の場でも想定しないと、現実的な必要性がほとんどないのに、催眠レッスンの人気メニューとなっているようです。

その延長線上に「セックス催眠」と言う催眠ジャンルがあります。これは「セックスにかかわる催眠」と言う意味で、通常の状態の女性被験者に催眠をかけ、性的快感を想起させたり、そのままオーガズムに到達させたりするものです。吉田かずお先生は、元々不感症治療法としての「セックス催眠」の発案者で、1970年代後半ごろに、当時の有名深夜番組『11PM』でこの技を芸として披露していました。この芸を“発見”し、ポルノ作品に取り込んだのが、後の有名AV監督、代々木忠氏です。

代々木監督は、「ホンバン作品」と呼ばれた挿入ありのセックスの作品化を始め、その結果、「催眠状態でするセックス」や「催眠状態になるセックス」が映像化されることになります。このようなセックスのことを「催眠セックス」と呼びます。

ところが、女性のオーガズムは元々深い変性意識状態であることが認識され、インドのカーマ・スートラや中国の房中術などが説くセックス体系も催眠セックスが基本にあることが分かってきました。そして、米国の宗教学者ジェイムズ・パウエルの著書『エロスと精気(エネルギー)』で、有名な「ポリネシアン・セックス」が紹介され、催眠セックスのあり方が体系化されて行きます。

こうして、「催眠セックス」は、催眠の撫擦法と凝視法を採用した、女性が体の奥底から快感に浸れるセックス方法として知られることとなるのです。