先日書店に行くと、「できる人の●●の習慣」や「成功するための●●のクセ」などの書籍が大流行していました。習慣や癖は、無意識に人間が行なってしまうことを指している言葉です。
このような無意識の働きを取り上げる書籍が増えているのは、MRIなどの脳を切開せずに脳の働きを調べる技術が発達して結果、人間の不断の思考や行動のほとんど全部が無意識によって支配されていることが分かって来たからです。
この手の書籍の多くの論調は、自分の今ある望ましくない人生の状態が、自分の意思とは関係なく無意識によって決まってしまっているので、意識を復権させて自分をコントロールしなくてはならないと言った“無意識悪玉説”です。では、意識は無意識を統制できるのでしょうか。
以前、このブログの『無意識の膨大な処理能力』でも書いた通り、無意識と意識の間には、約30万倍もの処理能力の差があると言われています。前野隆司博士が20年ほど前に唱えた「受動意識仮説」においても、意識は無意識が処理している結果に、好悪のタグを貼っているだけで、無意識の処理そのものには全く関わっていないとされています。
これでは、意識が無意識を意のままにするなど、到底無理に見えます。現実に、この手の“習慣本”に紹介される無意識の処理結果の変更には、数日から二週間ぐらいの時間がかかることが多いようです。意識の働きによって無意識がなかなか書き換えられないなら、やはり、自己催眠にせよ、他者催眠にせよ、きちんとした催眠技術によって、無意識の中身を直接書き換えるのが効率的かつ効果的なのです。
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