「ラポールレスの瞬間催眠」はあるのか

以前、吉田かずお先生が「チューさんは凄い。一応自分で応募して来たとは言え、面接に来た女の子とちょっと話しているうちに、自分のセックス観を語らせ、服を脱がせ、男優とセックスする気に、女の子をさせてしまうことができる。あれは、催眠として考えるべきだ」と言っていました。この「チューさん」は、ポルノ映画からAVに至るまで、業界のトップランナーであり続けている代々木忠監督のことです。代々木監督が、以前、吉田先生のセックス催眠の技術に関心を持って映像化したことから交流が続いています。

ストリート・ナンパを教える藤田塾塾長、藤田サトシ氏と催眠について話をしたら、見ず知らずの女性にでも(つまり、ラポール形成なしで)、自分は催眠術の「凝視法」と「驚愕法」を応用してナンパを成功させていると仰っていて驚かされました。

以前もこのブログで書きましたが、瞬間催眠は「一瞬にして対象者を催眠に入れる技術」を指しています。この対象者が、もし催眠施術者とのラポール形成が十分で、催眠術にかけられた体験も多々あったなら、瞬間催眠は非常に簡単です。しかし、通常、ラポールレスで催眠術をかけることはできないとされています。敢えて例外を探せば、対象者の首を絞める圧迫法などの物理的な手段だけです。

代々木監督の面接やストリート・ナンパの成功パターンを、吉田先生の催眠観に従って、「ラポールレス瞬間催眠」と捉えてみましょう。これらの技術に共通するのは、ほぼ一定の場面設定でほぼ同様なタイプの対象者に対して反復的に行なわれていることです。つまり、場面と人物のパターンを絞り込めば、特定のほぼラポールレスの瞬間催眠の誘導ができると言うことと考えられます。

考えてみると、「お客にあっさり買わせるテクニック」など、特定の場面で特定の人々に「ウンと言わせるテクニック」は各々の分野のマニュアル本に溢れています。これらを個々に腑分けしてみれば、特定の対象者タイプと場面に最適化された「ラポールレス瞬間催眠」の仕組みが見えるのだろうと、私は考えています。