多種多様の摂食障害 催眠技術ができる第一手

ごくたまに摂食障害についての相談を受けることがあります。単純な「ダイエットをしたい」は、女性の催眠でやってみたいことのトップ3に入ると思えるほどによく聞きます。しかし、摂食障害は単純にダイエットの延長のような内容では決してありません。

拒食だけの人もいれば、過食だけの人もいますし、拒食と過食を交互に反復する人もいます。激しい嘔吐を伴う過食の人もいます。人に隠れてしかものを食べられない人や盗み食いばかりをするようになる人もいます。

「自分に適した暗示を自分の望んだ内容について作ると、後催眠暗示が半永久的に続く」との私の文章を読んで、「『体重が48キロにならないと死ぬ』と言う暗示を入れたい」と言うネットを介した相談を受けたこともあります。

摂食障害は、症状とその重さもバラバラで、本人がその症状をどの程度自覚しているかもバラバラです。放置すると、自傷や抑鬱的な症状に進んで行ってしまうケースもあると、心理療法の書籍には書かれています。

「夜9時以降、食欲がなくなってくる」などの直接的暗示を入れて、本人が希望するダイエット効果を狙っても、過食の衝動が起きる限り、夜9時前に暴食するだけになってしまうかもしれません。面談で症状を聞いても、単純に本人の極端な食事制限の要望を受け入れると大変なことになり得ます。

きちんと面談をして状況を見極めた上で施術方針を決めることは勿論必須です。しかし、摂食障害の方々の多くに対して、催眠の施術で行なえる基本的な第一手は、端的に言うと「現在の自分を肯定する」ようにすることに思えます。つまり、自分を責めたり、自分を劣っていると評価したりしないように、暗示を入れることで、摂食障害の根本にある自己認識の歪みを微調整することのように思えるのです。