あまり知られていない「年齢進行」による禁煙の催眠技術

ヒプノセラピーでよく使われることで有名な技法に「退行催眠」があります。年齢を遡りつつ記憶を手繰っていき、トラウマの原因を探したりする手法です。その先の前世の記憶を手繰ろうとする「退行催眠」は、スピリチュアル系の催眠サービスとして知られていますが、正確には「前世退行催眠」と呼称され、通常の「退行催眠」とは区別されています。

「退行催眠」とは逆に「年齢進行催眠」も存在します。日本ではあまり耳にしない手法ですが、米国の催眠療法士の間では相応に知られた手法であるようです。

禁煙を希望する対象者のケースで考えてみましょう。最初に、覚醒状態で、喫煙を続けるデメリットと禁煙することのメリットをよく理解してもらいます。そして、催眠状態にして、喫煙を続けた自分の未来と禁煙した自分の未来の両方を頭の中に具体的にイメージさせるのです。この際に、単に未来の自分をポンとイメージさせるのではなく、「退行催眠」とは逆に年齢を加えていって、イメージを作るのがポイントのようです。

「年齢進行」の短い解説が載っている『催眠の謎』(マイケル・ストリーター著)には、対象者が描いた二つの未来の「歴然とした違いは、今すぐタバコをやめようと決意させるに十分な説得力を持っています」と書かれています。

禁煙の催眠と言うと、タバコの味を悪くするなどの暗示が知られていますが、このような手法ももっと知られるべきだと思います。