多くの企業で研修として採用されるマインドフルネス

インターネット以前の時代などに比べて、今の時代の状況を指すVUCAと言う表現があります。Volatility(不安定)、Uncertainty(不確実)、Complexity(複雑)、Ambiguity(曖昧)の4つをまとめたものです。これが会社の置かれた経営環境ならば、合理的な判断ができる訳がありません。不安定で不確実な上に、複雑で曖昧な情報を元に、どこかの外国に工場を作るとか、新製品のベストなデザインを決めるとか、上場企業なら世の中のどこにいるかも、どんな価値観かも分からない株主に納得させる必要が出ますが、殆ど無理であるように見えます。

無意識(=適応的無意識)は、意識的に合理的に下す判断よりも、より多くの情報をより精度高く処理することができます。端的に言うと、VUCAの状況で複雑系の判断ができるということです。無意識の判断とは、「なぜか分からないけれども、何となくこう感じる」と言う風にして顕在化させるしかない“判断”のことです。それをするためには、何か一つのものにフォーカスするばかりの意識にはお休みしていただかなくてはなりません。

『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』(山口周著)には、多くのグローバル企業(グーグル、インテル、フェイスブック、リンクトイン、P&G、フォードなど)が、マインドフルネスを社員教育に取り入れていると紹介されています。この教育は実際にはマインドフルネス瞑想を行なうものだと考えられますが、それは取りも直さず、暗示を入れる前の段階までの自己催眠と呼んで良いものです。

VUCAの状況下でより妥当な経営判断を下すこと。そのために、無意識の判断力を経営に動員することが、これらの企業群で求められていると言う風に解釈すべきでしょう。

最近、吉田かずお先生の所にも、マインドフルネスへの関心から自己催眠を習いたいと希望する方が何人も表れています。催眠の新たな一つの形として、企業人にも求められるマインドフルネスが普及することは喜ばしいことと思います。