『君と僕の完璧な世界』催眠原稿

『君と僕の完璧な世界』

【1 男の部屋】

(ピンポンとドアの音。ドアを開ける)
「あ~。居て良かった。久しぶりだねぇ。何年?三年ぶりぐらい?」
「元気だった?今日、仕事休みなんでしょ」

(千佳、上がる雰囲気。ドアを慌てて閉め、カギをかける男)
「ちょ、ちょ。何で閉めちゃうの。カギかけなくたっていいじゃない。
ちょっとぉ~。入れてよぉ。入れてよぉ。ちょっとぉ、ヤバイんだから~」

(男、ドアを開ける)
「あ~。どうなるかと思ったよ。何してたの?何か隠してたの?
いいよ~。もう部屋の感じ知ってるから。去年の法事のときも、
オバサンに部屋に入れてもらったもんねぇ。」

(部屋の奥の方を覗いて)
「ほらぁ。実家の部屋と同じ感じだぁ。上がるね。
辿り着くのに、ちょっと時間掛かって、トイレ行きたかったんだぁ。
トイレ、ここ?」

(男、千佳を止め、トイレを覗き込む)
「何何?あ、カノジョの歯ブラシとかあるのかな。
真面目だし、ちゃんと働いてるし、もてちゃうでしょ」

(千佳、鞄の中からごそごそと小さなポシェットを出して手に持つ。
千佳、ポシェットを取りだす行動から目を逸らさせるように話を続ける)
「ん。ちがうの?ほんとに?」

(千佳、トイレに入る。)

(トイレの流す音。千佳、ポシェットを鞄に戻しながら)
「あ~。あんまり実家帰ってこないから、おばさん、心配してたよ~。
でね。今回の三連休、東京に遊びに来ててね。来る前にオバサンに会ったら、
できたら、様子見てきてって言われて。来て見たんだけど。
あとさ、去年だっけ。ちょっとだけ帰って来てたの知ってたよ。
ちらっと、見たんだ。だから、それから、なんか気になってて。
会って見たいなぁとか思ってたんだ」

(男、千佳を部屋から追い出す感じ)
「え。何?あ~。部屋片付けたいの?
まあ、しょうがないなぁ。じゃあ、来る途中に公園あったでしょ。
あの公園で待っているよ。呼びに来て。早くしてよぉ」

【2 公園】

(男が公園に近づくと、ベンチの千佳が立ち上がって手を振る)
「ここ、ここ。なんかさ、ゲリラ豪雨って言うの?
昨日の晩すごかったよねぇ。ここら辺も降ったんだねぇ。
ベンチとか拭かなきゃ座れなかったよ。
昨日はさぁ、大学時代の友達と池袋に居たんだけど、
その友達がレイヤーの友達呼び出しちゃって。
居酒屋で飲んでおかしな話たくさん聞いてたんだけど、
すっごい雨の音で時々話が聞こえないぐらいだったよ。
地元じゃ、こんな風に降らないでしょ。
雨のとき、何してたの?
ウチにいた?またゲームか何かしてたの?
連休だから、当然大好きな夜更かしだよねぇ。知ってるよ」

(ベンチから立ち上がって、ブランコに近づく千佳。男ついていく
至近距離の千佳に、目が合うだけでどきりとする男。
成長して眩しい千佳のかわいさ、美しさに落ち着かなくなっている)
「なんか、懐かしいねぇ。ウチの親共働きで、時々、遊んでくれたでしょ。
こんな感じの公園だったっけ?ちょっと違うかなぁ。
今思うとさぁ。優しかったよねぇ。
ブランコとか飽きずに載ってたの、付き合ってくれて、ありがとね。
好きだったなぁ。あの公園で遊ぶの。
私に構わないで、もっと他のことしたかったんじゃない?
そうなの?ありがとう。なんかね。こんな話ゆっくりしてみたかったんだ」
そう。千佳にとっても優しくしてくれて、なんかさぁ、見守ってくれてたよねぇ」

(濡れているブランコ。それに気付いて、脇に立って話したあと、
滑り台に近づく。)
「ねえ。この辺、スーパーあるの?
普段、ちゃんと食べてる?コンビニ弁当ばっかじゃ駄目だよ。
滑り台に上がったらこの辺広く見えるかなぁ」

(滑り台の階段を上がろうとして、躓く千佳)
「あたっ!いった~い。スネ打っちゃったよ…。
あ、何々、大丈夫だよ。大丈夫。血も出てないよ。
すごいね。女の子にこんなに気を使える素敵な人だったんだね。
うん。すご~く、いい感じ。ホントに誰か、ん~。ま、いっか。
じゃあ、部屋に行こうよ。ご飯、なんか作りだめしてあげるよ」

【3 帰路】

(歩道が分かれていない道路を歩いている。
車道側を歩く千佳に気付き、男、自分が車道側に来る。)
「ん。あ、ありがと。うれしいな」

(小さな食料品店をちょっと立ち止まって覗き込む千佳。
男、少し先に歩いて、立ち止まってみている。
店前から駆け出してきた千佳、脇に大きな水溜り。
車が通り、水を大きくはねて走り去る。)
「わっ。うわぁぁ。なんだよ~。あ~。なんか今日最悪だなぁ。
足はぶつけるし。ん~。けど、バランス取れてる感じかな、
あ、こっちの話。ひっど~い。これ、酷いよねぇ。
部屋においてきた鞄に替えの服はあるけど、余所行き風なんだよ」

(男、ティッシュを出して、ちょっと拭くが、到底間に合わない。)
「ん。あ、もう、いいよ。ありがと。ありがとね。
部屋にいこ。着替えたりすればいいから」

(それでも、何かしようとする男の動作を、されるがままになりつつ、
見つめる千佳)

【4 シャワー前】

(千佳、ネコミミなど鞄のものを色々と取り出して、
部屋の端にこじんまりおきながら、
余所行きの服と下着を出して、
(ユニットのバストイレの)シャワーに向かう)
※おいてある荷物の中でネコミミは目立たないアングル。
「じゃあ、シャワー浴びさせてもらうね。
なんか、変な展開になっちゃって、ごめんね。
え。何してるの。服?
いいよぉ、これで。そんなに長居しないって。いいってば。
気を使ってくれなくていいよ」

【5 シャワー中】

(千佳、ユニットバスのシャワーカーテンの向こう、シャワー浴びている。
完全に閉まっていなかったドアを開けて、男が半歩入ってくる。
ユニットバスの全景が映り、汚物入れがないことが分かる。
ざっと畳まれた千佳の服。汚れた服と着替え用と一応分けてある。
着替え用の上にブラとパンティ。パンティは丸めてあったものが、
広がりかけている。男の手がおずおずと延びて、触れると広がって、
ナプキン内側が見える。経血の痕。男、パンティを元に戻そうとモタモタする。)

「え~。何々。だ~めだよぉ。見ちゃだめ。
ん。あ、タオルもって来てくれたの。
ここにかかってんの使わせてもらおうと思ってたけど。
あ、服も持ってきてくれたの。ありがとう。いいの?
いいのに、そんなしてくれなくても…。
やさしいね。なんか、うれしいよ」

【6 シャワー後】

(シャワーから、髪を揉み拭きしながら出てきた千佳。
だぶだぶのTシャツと半パン姿。
Tシャツの生地は薄く、ブラがやや透けている。
だぶだぶなので首繰りも大きく、かなり胸に近いところまで見える。)
余所行き服を鞄の近くに置く。)

「ありがとう。すっきりしたよ。
悪いけど、なんかビニール袋みたいのあるかな。
ちょっと、大きめの。
汚れた服入れておかなきゃ。あ、ありがと。
なんか、こんな服着るの新鮮だね。
似合ってる?そっかぁ。なんか、ちょっと、ここに住んでる気分?
そんなことないか…」

(男。普段ありえない風景に、至近距離の千佳をじっと見つめる。
千佳の肌感まで、どうしていいか分からず、ただただドキドキする。
千佳、広くもない部屋、男から1mも離れていないところに横座り)
「あ、ちょっと、待っててね。髪、よく拭いちゃうから。
この部屋、落ち着くね。
あ、マンガ。これ、実家の部屋にもなかったっけ。
時々さ、オバサンとこに遊びに行ってた時に、部屋に入って、
マンガとかCDとか置いていったのから借りたりしてたんだ
好きな奴、結構知っているよ。私も好き。
あれ~。じゃあ、さっきは何隠してたの?
エッチなDVDとか、たくさんあったりするの…。
いいよ。千佳はいとこだし、そんなの気にしないよ。
ん~。まあ、男の人はそういうの好きだしねぇ。
え。そんなんじゃないの。ただ、片付けてただけ?
ふ~ん」

「あ、あ~。これ、なんかの資格の本?
勉強して受けるの?すご~い。
すごいね。ちゃんと、先のことを考えてるんだね。
仕事のこと考えている男の人って、ステキだよね」

「ちょっと、読んでみてるだけ?
ううん。それでも、すごいよ。かっこいいなぁ。あこがれちゃうよ。
きっと上手く行くよ。
だって、本読むの好きだったでしょ。
それに、なんか、集中力結構あるほうだったよね。
受験のときに、勉強教えてもらったもん。知っているよ」

【7 ベッドふち会話】

(千佳、立ち上がって)
「お茶かなんかあるの?入れてあげるね。なんか、大体場所分かりそ」

(湯沸しをIHで掛けて戻り、壁側のベッドの端に腰掛ける。
投げ出した足をパタパタさせながら、話し始める)
「IHって湧きが悪いでしょ。初めてだけど。
仕事のこととか、ちゃんと考えられるの、ステキだよね。
私、全然だめだなぁ。
就職して三年経ったけど、まだ契約だも。
田舎じゃ、これでもまあ良いほうだと思うけどね」

「今の仕事の話を教えて。
どんなお仕事してるんだっけ。
職場っておじさんばっかりいる感じ?
あ、いろんな人いるんだ。大変だね。
あれ。なんか、仕事の話、嫌かな。
ごめん。あれ。私、気が利いてないね。
あ、今の仕事が嫌だから、あの勉強しようとしてるの?
そうだったの?ごめんなさい」

「ごめんね。なんか嫌なこと聞いて。
けど、やさしくて、空気読めるし、いろんなこと知っているし、
面倒見もいいし。
そんないいとこたくさんある人なのに、
何で職場の人は、それに気付かないんだろうね」

(千佳ベッド脇に座っている男に向かって、迫って目を見つめ)
「こんな素敵な人なのに。千佳は前から知っているよ。
人の痛みが分かるとても優しくて、素敵な人」

(男、たまらず、千佳の手の甲をぐっと握る。
千佳の、顔を見あげて見つめる。)
「え。どうしたの?
大丈夫だよ。千佳は知ってる。
素敵な人だよ」

(千佳が抵抗感を示さないことが分かり、たまらなくなって、
男、千佳に抱きつく。ベッドに互いの上半身重なる)
「え。え。ちょ、ちょ、ちょ。
え。どうしたの。千佳はずっと好きだったよ。
私をいつも助けてくれた。いつも私のことを思っていてくれた、
いとこのお兄ちゃん。千佳の自慢だった。
え。いいの?
私で、いいの?
私は…。いいよ。いつかこんな日がって思ったこともあったよ。
本当にいいの?」

【8 ベッド上】

(男の目をじっと見つめる千佳。男、ベッドに千佳を押し上げ、
自分も千佳の脇に上半身を起こし、Tシャツの肩に手を掛け、
荒々しく慣れない手つきで胸に手を持っていく。)
「あ、え。え。優しくして。
目をつぶるからキスして」

(男、初めてのキス。唇を漸く重ねるが、唇を開くと歯が当たってしまう。
男の経験不足を見抜いた千佳。)
「優しく唇を重ねて…。
ん。ん。嬉しい。あのお兄ちゃんとこうなれるなんて。
舌触っていい?
舌入れて。口の中舐めて…。ん。すごい気持ちいい」

「はあ。あ。外から見えちゃってるよ。なんか。恥ずかしい。
カーテン閉めて」

(男、慌ててカーテンを雑に閉めようとして、カーテンレール引っ掛かる。
先程よりはカーテンが隠す状態になっただけで、
焦った様子で千佳の脇に戻ってくる。
ぎこちなく、千佳のTシャツをめくり上げる。
ブラが露出する。どうしていいのかわからなく、ブラを上からもむ。)
「あ。あ、あの。今日は…」

(男、緩い半パンのゴムを越えて千佳のパンティの上に手を当てる。
身をこわばらせる千佳)
「あ、ちょ。ちょ。ちょっとたんま。待って、ねえ。
あの…、今日はダメなんだ。今日はできないから…。
ごめんね。傷つけちゃった?
千佳も、いやじゃないよ。こうなるの。
ごめんね。でも、約束。この続き、今度しよ。
今日は代わりに、別のことしてあげるから。
とても気持ちよくなれること。
二人で気持ちよくなろ。ね。二人だけの秘密のこと」

【9 催眠】

(今度はベッド脇に千佳が座り、男を寝かせて
意を決したように、Tシャツを自分で脱ぎ捨てる。
半パンも寝ている男の眼前で脱ぎ降ろす)
「ん~。これでいいのかな。よしっ」
「じゃあ。んとね。昨日の友達の話したでしょ。
ちょっと、ヒーリングに嵌っている子で、
あ、勿論、みんな女の子だよ。で、好きな人とだけできる…、
その…、そのさ、エッチよりも、もしかしたら気持ちいいこと。
好きな人かぁって、話してたら、今日、ここに来ようって、
なんか、もともと言われてたこと、思い出したんだ。
千佳と初体験、一緒にしてみよ。
今日の続きは、またすぐできるから…」

「二人で溶け合うの。なんかすごいでしょ。変な宗教とかじゃないから、
大丈夫だよ。じゃあ、横になって。私の目を見て。
これから少しの間、終わるまで、私の目をじっと見つめていてね。
うん。暗さもこんなんでいいかな」

(ブラとパンティ姿の千佳。エステのような感じで迫ってくる。
薄暗がりの中、千佳の吐息が感じられる。潤んだ瞳が常に眼前にある)

「そうそう。仰向けになって。
で、全身から力抜く感じでね。そう。全身脱力みたいな感じで、
リラックスして。
落ち着いて、穏やかな感じになってね」

「じゃあ、ちょっとだけ、目を閉じてもらおうかな。
大丈夫だよ。変なことしないよ。
私の声に集中してね。なんかねぇ。耳に全神経あつめて、
それで、私の声が遠くから聞こえて、私の声以外聞こえない感じ」

「どう?
体から、力が抜けて、楽になってきた?
体全体、ぐにゃ~ってなる感じにしてね。
じゃあ、私は今あなたの目の前にいるよ。
ゆっくりと目を開けて、私の目を見つめて」

「次は深呼吸ね。気持ちと一緒に体もゆったりする感じ。
息をゆっくり吸って。吐いて。息に集中してみて、ねっ。
吸って、吐いて。いい?行くよ」

「それじゃあ、息を吸ってぇ~。吐いてぇ~。吸ってぇ~。吐いてぇ。
吸ってぇ~。吐いてぇ~。
吸ってぇ~。いい?力を入れないでね。ゆっくりとね」

「体の深いところから、ゆっくりと吐き出すみたいにね。
なんかね。吸う息は鼻からで5秒ぐらい。
吐く息は体の深いところから口に出す感じで、15秒ぐらいなんだって。
私が時間の感覚、一緒にやるから、あわせてくれればいいよ。
呼吸法?あ、そうそう、それそれ。けど、今は、そういうこと考えないで。
千佳と一緒にゆっくり呼吸してね」

「吸う息、吐く息。私を見つめながら、私と一緒に呼吸を感じてね。
息を吸うときは鼻から吸ってぇ。すうっ。
吐くときは口から吐くようにするの。はぁ~。
じゃあ、一緒に。
すうっ。はぁ~。すうっ。はぁ~。すうっ。はぁ~。すうっ。はぁ~」。

「私の息に合わせて一緒にね」
「職場のこととか仕事のこととか。
何かいやなことが浮かんできたら、それは息と一緒に吐き出して。
代わりにいいことを何か思い出しながら、息を吸って。
千佳は二人でこんな時間が過ごせて幸せ。嬉しいよ。
千佳のフワフワした嬉しい気持ち。一緒に感じて吸い込んで。
ゆっくり。私の息に合わせて。
すご~く、気持がよくなってくるよ。
と~っても、いい気持ち」

「まだ、何か考えてる?
だめだよ~。頭を空っぽにして。
頭のスイッチを切っちゃう感じだよ。
体全体が、綿みたいな感じになって、
今、とても、リラックスして、い~い気持ち」

「私の瞳を覗き込んでね。私も見つめているよ。
私はずっと前から見つめていたよ。大好きだったから。
だんだん、寝てるのか浮かんでいるのか、よく分からなくなってくるでしょ。
私の話しかけることがすっと頭に入ってくるようになるよ。
ただ、リラックスして私の声を聞いて。
全部私に任せる感じ。
私の言うこと聞いちゃう気持ちになるよ。
うん。いい感じ。
もう少しで、私の心とあなたの心は一つになるよ。
あなたの気持ちを私の気持ちとシンクロさせるの。
あなたが気持ちよければ、私が気持ちいい。
私が気持ちよければ、あなたが気持ちいい。
私の気持ちもすごく軽くなってきた…、
どう?気持ちよくなってきたかなぁ。なんか不思議な感じでしょ。
ずっと、こうしてみたかった。
もっと、気持ちよくなりたいでしょ。
だから、もっと心を一つにしようねっ」

(少しずつ体を動かし、静かに男にまたがる千佳)
「これから、もっと一緒になるよ」
「これから、手をつなぐね。ゆっくりと、私の手があなたの手を包み込むよ」

(千佳、前傾姿勢になり、ひじを突き、両掌を男の肩からなぞるようにして、
男の掌に近づけ、ゆっくりと指を組み合わせ握り締める。)
「掌って、なんかこう。気みたいなものが出るところなんだって。
手のあったかさが伝わっているかな。指先まで、熱くなってくる感じ。
分かるかな。千佳は気持ちいいよ。ゆっくりと、何かが伝わってくる感じがする」

(千佳、ゆっくりと、体の隙間を埋め始める。男、千佳の目線を外し、
密着しつつある二人の体の隙間を見ようとする。)
「だめ。何も考えちゃダメ。頭は空っぽにして、千佳の目を見つめていて。
これから、二人の体を重ねるよ。
もう、両足もぴったり触れているよ。
ゆっくりと体を重ねるよ。今、二人の呼吸も一緒。
それから、手もつながって、目もつながりあって。これから体も重なり合うよ。
嬉しい。千佳はとても嬉しいよ」

「私の体を近づけていくよ。
私の手はあなたの体の横に回して。あなたの背中に手を回すよ。
私はあなたの体の上から、ゆっくり体を覆い被せて行くから。
あなたの背中に回した私の手で、あなたをぎゅっと抱きしめるね。
私の胸があなたの広くて大きな胸に触れた。
私の体の重みを感じる?
あなたの体に私を乗せていくね。
抱きしめる力も、少し強くするよ。
もっとぴったり、あなたとくっつくように。
私の温度、柔らかさ、呼吸、心臓の音を感じて。
ゆっくり息をして。
あなたの上にある、あなたを包み込む私を感じて。
私の柔らかい体。暖かさ。心臓の音。感じてね、ほら。
じゃあ、しっかり抱きつくね。
私の顔が見えなくなるけど、私の耳とか見えるところを見つめていて。
私も大好きなあなたを見ているからね。
私の息も、私の心臓の音も、私の体のすべてを感じてね
もう、いやなことはぜんっぶ頭からなくなってしまって。
ぜんっぶ忘れてしまうよ。
と~っても、安らいだいい気持ち。千佳も一緒にい~い気持ちだよ」

「優しくて、色々なことを知っていて、いつも気遣ってくれる。
千佳の大切な人。こんな風になれて嬉しいよ。ありがとう。
きっと、二人でなんでもできちゃうよ。
なんかそんな気がするんだ。
千佳がこれから特別のおまじないをかけるよ。
声に出さなくて良いから、頭の中で繰り返してみてね。
これから、やろうと思ったことは、何でも簡単にできてしまう。
これから、やろうと思ったことは、何でも簡単にできてしまう。
もいちど。
これから、やろうと思ったことは、何でも簡単にできてしまう」

「いろんなこと上手く行くよ、きっと。
こういう予感、当たるんだ。きっといろんなこと、上手く行くよ。
千佳を選んでくれて、ありがとう。
千佳は全部、あなたのものだよ」

(千佳、体を起こし、男の目を見つめる。ゆっくりと囁くように言う)
「気持ちいい?
千佳はいつも一緒にいるよ。
これから、ずっと気持ちいいことたくさんできるよ。
いろんなこと、たくさんできるよ。力が湧いてくる感じ。
じゃあ、もう一つおまじないをかけるよ。
頭の中で千佳と一緒に言ってみてね。
何か楽しくなってきて、自信がどんどん湧いてくる。
何か楽しくなってきて、自信がどんどん湧いてくる。
もう一度。
何か楽しくなってきて、自信がどんどん湧いてくる」

「千佳は前から知っているよ。とっても素敵な人。
すごいね。じゃあ、目を一旦閉じてね…」

(千佳、さらに上体を起こし、やや普通の口調に戻って)
「いつつ数えると、あなたの意識がはっきりしてくるよ。
いつつから、ひとつずつ逆に数えて行くよ。じゃあ、行くよ。
いつ~つ。
だんだん、閉じたまぶたの外が明るくなってくるよ。
よ~っつ。だんだん体が目を覚ましていくよ。
体の中心から、腕や足、指先に力が戻ってくる感じ。
み~っつ。もう体が目を覚ましてきたよ。
ふた~つ。まぶたが段々軽くなって、外の明るさに目が開いていくよ。
ひと~つ。はい!
じゃあ、目を開いて!」

(千佳、ベッドからとんと飛び降りて、カーテンを開ける。)
「気持ちよかった?
千佳を感じてくれた?
ありがとう。私もなんか、このヒーリングの初体験、ちょっと、気に入ったよ。
また、今度しようね。
え。これもいいけど、もっといろんなことしたいって?
うん。いいよ」(千佳の笑顔と決心のような顔、アップ)

【10 終わり】

(千佳、余所行きの服に着替えた後、部屋を見回し、出て行く用意をする。)
「うん。じゃあ、携帯で連絡取れるようになったし。
じゃあ、帰るね。おばさんには元気だったって言っておくよ。
あ、勿論、内緒のことは内緒。当り前でしょ。
あさって、会えそう?
私も残業ない日。じゃあ、仕事終わったらすぐこっちに来るよ。
それまで、待っててね。あ~、送らなくていいよ。ちゃんと帰れるよ。
すぐ会えるよ。また、連絡するね。
千佳は、いつでも一緒だからね。じゃあね。」

(一度扉の外に出かける…、で、すぐに戻ってきて)
「やっぱり、も一度、ちょっとだけ抱きしめて。なんか嬉しくて」

【特典映像】

●ミニシーン1(約30秒程度):
暗いベッド。下着姿の女性二名(含む有村千佳)
千佳
「うそっ。無理無理。言葉ややることは一応覚えたけどさぁ。これ、裸でやるの?
それも、好きな人と?無理だよ。ええ、これはナイでしょ、普通」
「そうかなぁ、好きな人と面と向かってやったら、溶け合う感じになるの?」

●ミニシーン2(約30秒程度):
試着室のようなスペース。千佳、コスプレ衣装を身につけ、
細かい所を直している。カーテンの向こう側の友人に向かって。
「あのさぁ。ちょっと、これ、ないんじゃない?
いや、コスプレ喫茶の面接には付き合うって言ったけどさ、
なんで、私も付き合わされて、コスプレする訳ぇ?
意味分かんないじゃん…。
おい、こらぁ。だ~めだぁって、写真撮るなって。だぁ~めだって」

●ミニシーン3(約30秒程度):
遠景で通行人の婦人(または交番でも可)に道を教えて貰っている千佳。
カメラの方に歩いて来て、段々アップ。ふと、ショーウィンドウか何か、
自分の姿が映ったものに目をやる。
「げっ。これ、ずっと外し忘れてた。も~。何で誰も言ってくれないかなぁ」
とネコミミを慌てて外す。