清掃スタッフにホスピタリティを教える催眠研修

人口が数万人の町の病院内の清掃を請負う契約社員の方々に対して、患者に対するホスピタリティの考え方の浸透が数年の取り組みでもうまくいかないとの相談を受けました。管理している人材会社は東京にありますが、スタッフは地元の中高年の、言わば、おじちゃん、おばちゃんがたです。経営という観点でモノを考えることもなく、ホスピタリティと聞いてもピンと来ないのは当然です。

ホスピタリティは、個別の相手にとって望ましいことを自分からして差し上げることと考えられますから、マニュアルに決めておいてできることではありません。同じ喜んでもらうのであっても、ホスピタリティの受け手とスタッフの組み合わせによって方法論は千差万別です。決められた行動を「こうしなさい」と教えることができないのがホスピタリティを教える上で最も難しい部分です。

申し出を受け、対象者100人を二班に分け、各々全三回の研修を受けてもらうことにしました。自分が行ったホテルや商業施設の清掃員を振り返ってもらって評価する内容や、その評価基準を自分にも向けてもらう内容などを盛り込み、私の講義は催眠スピーチ術で、ワーク・タイムには催眠作業術で、ホスピタリティの重要性や自分で気づいたやるべきことなどを無意識に何度も刷り込むように働きかけました。

各回が終わるごとに受講者の方々の言動には変化が出てきました。患者さんや病院の職員の方々に対する言動が大きく変わり、に分けて、人材会社の幹部の方から驚きと感謝の両方を何度もメールでお伝えいただくことになりました。

考え方や価値観を言動に反映させる研修は、意識に理詰めで働きかけてもその場の納得しか得られません。無意識に効果的に働きかけるコミュニケーションの形は催眠技術の中にあるのです。