先日、キネシオロジーを勉強した方から、ペンデュラム(振り子)を自分の本心を探るバロメータにしてしまう方法を習いました。原理は非常に簡単で。ペンデュラムを利き手で静かに持って、「明らかに嬉しくないこと」(例えば、嫌いな映画や人物、食べ物など)を思い出してみます。その時のペンデュラムの揺れ方が、自分が嫌いなものに対する反応パターンです。次に「明らかに嬉しいこと」を思い浮かべて、自分が好きなものに対する反応パターンも調べます。
これで、自分の無意識にある好き嫌いがペンデュラムで読めます。適応的無意識は、常に自分を制御しています。その適応的無意識の重要な判断基準は「好悪」、つまり、好き嫌いです。あとは、「踏み出せない交際相手」でも「今度の日曜日の予定」でも、自分の本当の気持ちを「好悪計」で調べられます。
キネシオロジーは大学でも専攻がありますが、医学をベースに身体運動について、解剖学・神経学・物理学・生化学などを総合して研究する学問です。その基本の考え方に「筋反射」があります。かなり大雑把に言うと筋肉の無意識の動きで、一般によく知られる膝のお皿の下を叩くと膝が前に伸びる現象などを指します。その方はこの「好悪計」の原理を筋反射の概念で説明していましたが、筋反射は外部からの刺激に対して無意識に筋肉が反応して動くことを指していますから、寧ろ、「不覚筋動」として解釈する方が適切でしょう。
「不覚筋動」は、無意識下でのイメージに従って、無意識のうちに筋肉が動くことを指します。ここに、「予期意向」と呼ばれますが、元々無意識下に抱いている「こうあるべき」と言う答えが最初のイメージとしてあると、無意識が出している(自覚されることのない)答えを筋肉が表現する原理となり得ます。つまり、無意識が既に持っている答えをペンデュラムを通じて可視化することになります。これがペンデュラムの「好悪計」の原理なのです。
催眠技術の中で、ペンデュラムを用いて、対象者の被暗示性を高める手法があります。対象者が持ったペンデュラムの下に催眠術師が掌を配置して、「どんどん振り子が動き始める」と言いながら、掌を動かすと、ペンデュラムが動いていなくても、動いているように錯覚してしまい、対象者はペンデュラムをその方向に動かしてしまうようになるものです。この結果、対象者は自分が催眠術にかかりやすいと感じるようになるのです。
好悪計の原理が、催眠技術の初歩段階で逆手に取られていることの発見は、とても面白く感じました。

最近のコメント