吉田式催眠観学習の必須課題「吉田式呼吸法」スクリプト暗唱 (1) 必要性編

私の師匠であった吉田かずお先生の催眠の考え方、通称「吉田式催眠観」を学ぶ上で避けて通れないのが吉田式呼吸法です。吉田先生は対象者が自身の呼吸に対して意識を向けるようにすることをきっかけに始める催眠誘導が得意でした。色々なバリエーションがありましたが、ゆっくりとした呼吸を意識させることから身体の各所の脱力に注意を遷移させていく原理は基本的に同じです。

あまりに色々とバリエーションがあり、語弊を恐れずに言うなら、本人も行き当たりばったりにその場で良いと思われるやり方をどんどん編み出してしまうので、バリエーションと括ることさえ難しいほどでした。しかし、それでは習得が難しいので、私はその中でも最も基本的で、比較的短時間で完了し、それでいて相応に誘導効果が高いと考えられる形をスクリプトにまとめ、吉田式呼吸法の「簡易版」として自分もマスターし、吉田式催眠観を学びたいという方々にも標準形として教えることにしたのでした。

実際に吉田式催眠観を教えてみると、一般の催眠術師による催眠の考え方との違いなども含め、学習者の方々はよく理解して下さるのですが、多くの人が挫折しがちなのが、吉田式呼吸法の実践です。ほぼ全員悪戦苦闘するのが吉田式呼吸法のスクリプトの丸暗記です。高校教育や大学受験の丸暗記などの記憶は遥か彼方というような年齢の方々が多いので、非常に強い抵抗感が生まれることがよくあります。

たとえば営業職で、商談や相手の意思決定の場面に催眠技術を採り入れたいという方の場合、最終的に吉田式呼吸法で対象者を催眠誘導することはあまり発生しないであろうことは確かです。緊張系の誘導を用いた浅い催眠状態を瞬間に作るなどのことが多いかもしれません。しかし、それでも、しっかりと誘導した場合の対象者の深い催眠状態を知り、且つ、そうした対象者と同調する経験は、催眠技術を学ぶ上で必須です。深みを知っているから浅い催眠状態の「浅さの実際」が分かるとも言えるでしょう。

また、深く弛緩した状態の対象者と同調することで、施術者自身も浅い催眠状態の中で、身体が弛緩して行きます。私の場合は一日に連続して数人の施術をすると、かなり眠気を催す状態になります。こうした体験なども、催眠技術を体得する重要な一旦であろうと思われます。

そういった背景から、催眠技術学習の目的や最終的な催眠技術の用途の如何に関わらず、吉田式呼吸法(「簡易版」)を学習者の皆さんには習得していただくことにしています。

☆参考書籍:『マニュアル通りでできる! 万能催眠誘導法 吉田式呼吸法のすべて