コーチングと催眠技術の関係性

コーチングを生業とするコーチ、取り分け、ビジネス・コーチからの催眠技術についてのお問い合わせを最近数件連続でいただいています。コーチングはよく知られた通り、一般に傾聴や共感を手段にして、「クライアントの中に既にある答え」を整理したり引き出したりして実現する支援を行なう技術体系と考えられます。

他にも認知科学とコーチングの組み合わせとなっている技術体系も存在し、「クライアントの中に既にある答え」だけではなく、「現在の自分の外側に位置するゴール」を設定して、それを目指すことを支援する技術体系と言われています。最近よく耳にする「自分のコンフォートゾーンを抜け出すために、エフィカシーを高める」などの表現は後者の考え方の、「認知科学コーチング」と呼ばれることがあるコーチングの基本的方法論です。

しかし、単純に言えば「やる気を出す(/やる気を出させる)」ことは困難で、現実にそうしたコーチングを受けても尚、挫折してしまった人々からのご依頼も受けることがあり、自分で設定したゴールに向かっていく意志やモチベーションが続かなかったなどと伺います。

催眠技術であっても、本質的にクライアント本人がやりたくないと真っ向拒絶しているようなことを暗示で書き込むことは非常に困難です。例えばダイエットの事例を考えると、単純に「体重が減る」と暗示を書き込んだところで何も起きません。やはり搦め手から、好ましいやせた体型のイメージを書き込んだり、やせるための運動や食生活の習慣を暗示で確立させたりなど、いろいろな工夫が必要になるのは間違いありません。

しかし、「認知科学コーチング」でも、一つの成果達成には数ヶ月を要するようですし、その間にクライアントは数々の作業を完遂することが求められます。それに比べて催眠技術を用いた場合には、最短ならたった1回の催眠施術で「やる気を引き出すこと」や「やらなければならないことの習慣づけること」を実現できます。それは催眠技術が本人の認識や意識、習慣などを乗り越えて、暗示を書き込むことで無意識のプログラムを直接書き換えることができるからでしょう。催眠技術なら既存の「コンフォートゾーン」さえなかったことにできます。

先日私が催眠技術をお教えした実業家の人物は「催眠技術はコーチングの上位互換だ」と評していましたが、その表現の妥当性は置いておき、目標達成という最近よく話題になる一連の作業を圧縮してしまう効果が催眠技術には間違いなくあるものと考えらえます。

☆参考書籍『自分の変え方 認知科学コーチングで新しい自分に会いに行く