生前、吉田かずお先生が「二人の人物をより親密にする自動催眠装置」のアイディアを聞いたことがあります。先生の言う装置の原理は以下のようなものです。
装置としての構造は非常に簡単で、CDに録音された催眠誘導を含む音声を、小さなテーブルを挟んで向き合って掛けている2人の人間が交互に聞くことに拠り、どんどん2人が親密になるように導かれるというものです。
2人の人物をA・Bと仮に呼ぶとします。2人は最初俯いて座っています。最初はAさんに向けて、「顔を上げてBさんを見つめていると、Bさんもあなたを意識して顔を挙げて見つめ返してきますよ」と聞かせます。その直後にBさんに「あなたがゆっくり顔を上げると相手がじっとあなたのことを見つめています。あなたもじっと見つめ返すと、だんだんと相手に触れたくなってきますよ。テーブルの上に手をゆっくり伸ばしてみましょう」と流れます。
今度はAさんに「じっと見つめていると、相手に触れたくなってきます。あなたの気持ちが強くなってくると、相手にその気持ちが伝わって、相手があなたに手を伸ばしてきますよ。そんな相手をみていると、あなたの心の中にどんどん相手に触れて、相手を知りたい気持ちが湧いてきますよ。さあ、相手が伸ばした手にあなたも手を伸ばし、手に触れてみましょう」のような言葉が流れます。
このようにして、A・Bの2人は各々の動作を基点として相手が導かれて次の行動に移り、どんどん関係性が深まるような行動を取るようになっていきます。男女を対象として、プロセスの中に脱衣したり身体を重ねたりするようなことを組み入れて、さらに見つめあうとか、何かを囁き合うとかの段階に至って、装置の働きを終えるようにするというものです。最初の俯いている段階で、軽く催眠誘導をする音声を聞かせればより効果は上がるでしょう。
吉田先生は聞くと催眠状態になり、集中力が上がるなどの特定目的の暗示を書き込む催眠音声などを販売していますが、複数人物を対象とした作品は存在しません。
より親密にするという報構成の催眠音声だけでも、男女の恋愛関係用のものや親子その他の関係性を対象にしたバリエーションを作れますし、逆に親密にする方向性ではなく、仕事を進めるチームワークを醸成するなどを目的としたものも、可能性として無理ではありません。
吉田先生は当時の芸能活動の一環として、「ジャイアント吉田の珍発明品展」という展示会を全国のデパートの催事場などで開催していた時期があると聞いたことがあります。催眠技術に関する各種の「アイディアとセンス」を発揮することもよくありましたが、こうした仕組みの発想も凄いものだったのです。
☆催眠音声『脳の力を変える「集中力アップ」』
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