朝起きたら突然声が出なくなっていた女性の相談

クライアントである洋風居酒屋に行ったら、本来、打ち合わせをする予定だった副店長が病欠だとスタッフが教えてくれました。20代後半のその副店長からLINEが入り、打ち合わせは出社している社員が代わりに行なうとのことでしたが、メッセージには打ち合わせが終了した頃を見計らって店に行くので、相談に乗ってほしいと付け加えられていました。何だろうと思っていると、さらにメッセージで突然声が出なくなったことを知らされました。

打ち合わせの後、会議室に現れた彼女は、全く声が出せない状態でした。声が出なくなったのは前日の朝。それから耳鼻咽喉科に行って、声帯などに異常がないことを確認の上、「数日様子を見るように」と言われていると、筆談で教えてくれました。

人手不足で埋まらないシフト対応に苦慮し、経営者からの叱責やスタッフ間のもめごとが重なったストレスで、発声ができなくなったようだと本人も自覚していました。耳鼻咽喉科でも「心因性失声症と考えられる」と告げられていたようです。

ストレスから来る心の問題への対応には、ストレスの原因となっている環境要因としての問題の解決も重要ですが、心の方のストレス耐性を上げることも大事です。催眠施術の暗示でも、その特定の問題に対して耐えられるようにするか、全般的なストレス耐性を上げるかのいずれかを行なうことになります。

ただ今回のケースでは、数日様子を見る時間的余裕が職場の問題をより大きくしてしまうので対応を急ぐという反面、私が催眠技術研究屋と知っている彼女も催眠施術にはやや不安と躊躇を感じるという話でした。

そこで、応急処置として就寝時に入れるシンプルな自己催眠用の暗示を教えることにしました。それは、「寝て起きると、一ヶ月前の自分と同じぐらい元気に働けるようになる」です。「声が出るようになる」と言う暗示だと、「声がでない今の自分」を意識するので、その言葉を入れずに暗示を考えてみました。

月一の訪問なので会って詳しく聞かせてもらっていませんが、翌々日には声が普通に出るように戻ったとのLINEを受けました。自己催眠が回復の助けになったのであれば良かったと思っています。

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