女性に多いうつの理由と対策

うつの発症を性別で見ると、女性は男性の2倍、調査によっては3倍という統計結果もあるほどに、女性の方が圧倒的にうつになりやすいと言われています。

うつの原因には、当然、心理的、社会的な要因が複雑にかかわりあいながら存在していて、女性の方がそれらの要因が発生しやすいという可能性もあります。他にも、日光を浴びる量が少なかったり、運動不足やビタミン・ミネラル不足も鬱の要因になり得ると言われています。しかし、見逃してはならない事実は、やはり、男性と女性では、脳が生理学的違っているということです。

たとえば、セロトニンの合成速度です。セロトニンは、天然の鎮静剤や催眠剤として望ましい効果があると考えられていますから、セロトニンの濃度が脳内で高まりやすいとうつになりにくいと考えられます。カナダのマギル大学のミルコ・デイクシック博士らの研究によれば、脳内でセロトニンをつくるスピードは、男性が女性よりも52パーセントも速いということがわかりました。

もともと日本を含む東アジア圏の人々は遺伝的にセロトニンを脳内で運ぶトランスポーターの能力が低く、セロトニンの脳内濃度が低いことが知られています。つまり、日本人は不安を感じやすく、幸福感を得にくい人々である可能性が非常に高いということです。その中でも女性はさらにセロトニンの濃度が高まりにくいことになります。さらに、他の多くの研究から、女性は男性に比べてセロトニンの量が減りやすいことも明らかになっています。

ケース・バイ・ケースではありますが、投薬による治療は基本的に対症療法ですから、精神科医も自己暗示による根本的な改善を薦めているケースもあります。自分で暗示を書き込むのに比べ、他者催眠ならより強力に暗示を書き込むことができます。自分の無意識のコントロールが結果的に根本的なうつの対策になるのです。