スマホ利用、またはスマホ所持のデメリットが世の中で大分認識されるようになってきました。数々の実験結果で、スマホを周囲に置いておくだけで作業への集中力が損なわれるなど現象も認識されています。
単にスマホを用いない何かの作業での集中力低下のみならず、スマホ自体からの読み取るニュースなどの情報では他の媒体から読み取る際に比べて思考力や読解力が落ちているという指摘もあります。SNSなどがスマホを通して事実上“常時接続”になり、常にその中の人間関係を意識し対応を迫られるような状態も当たり前に発生しています。スマホのゲームなどへの依存などの問題は取り分け指摘され始めて大分時間が経っています。
そうしたスマホのデメリットを抑制することが催眠技術でできるかと数度相談されたことがあります。実際の施術を前提としたものではなく、むしろ思考実験的な話題として何度か議論したことがあるという状況です。
結論から言うと、直接的な対応はかなり困難です。スマホを全く使わない生活と言うのが現代社会において事実上不可能なので、スマホを手放すことができません。手放せないものを見る習慣や手にする習慣を抑制しても、一定程度はそれを許さなくてはならない訳ですから、暗示として効果が薄くなるはずです。むしろ、全く手にしない、全く見ないといった暗示の方が原理的には容易です。
一応、SNSなどを通して他人の目が気になるとか他人から承認されたいという強い欲求があるなどの、「症状」に対して、「他人のことは気にならない」などの催眠暗示が効果を持つケースも多いことと思われます。一方でゲームやSNSなど特定の利用方法を止めてしまうというのなら、催眠暗示で止めるよりも、自分のスマホから該当アプリを思い切って削除してしまう方が早いでしょう。
所謂「スマホ断ち」的な概念で対応するのが一番良いかもしれません。書籍を読んでいたら、「スマホ・ラマダン」という概念を発見しました。1日のうち数時間程度スマホを見るのをやめるという考え方です。ラマダンはイスラム教で断食などを行なう慣習で、この期間、人々は日の出から日没までのあいだ飲食をしないというものです。これと同様にあらかじめ決めた時間枠はスマホから離れるという考え方です。
スマホ・ラマダンは或る意味の生活習慣ですから、習慣作りは催眠技術でも最もポピュラーなテーマなので、色々な形でこの実現をサポートすることができそうに思えます。
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