ヒトラーが意識した眼力

眼力(がんりき)は多少今風に言うと「メヂカラ」です。他例があまりない“選挙によって選ばれた独裁者”であるヒトラーは、政党に参加し始めたまだ若く貧乏だった頃、下宿の部屋で鏡を見ながら、自分の目線や目つきをイメージ通りにする練習をしていたと言われています。

ヒトラーの大衆心理操作の最大の方策は演説です。小さな会場で開催された時もあれば、押しかけた人々が見渡すことさえできないような大会場での開催もありました。演説の内容も服装も現れ方も実施時間帯も演説内容とその言葉遣いも声色も、ヒトラーは入念に準備をしていたことが知られています。

スピーチに集中させることで聞き手を催眠状態に引き込む催眠スピーチは、緊張系催眠の主要な応用法で、ヒトラーの事例のように膨大な人数を一気に催眠状態に引きずり込むことができ、そこにシンプルな内容の暗示を深く書き込むことができます。そこで使われる主な誘導法は凝視法と凝視法です。

普段の一対一の会話でも総統として人に会う場合に、ヒトラーは恐ろしいほどの眼力で相手を見つめていたと言います。ミラー・ニューロンによる効果もあって、凝視されるとされた相手も凝視するようになります。一対一のそのような眼力をヒトラーは演説の場でも遺憾なく発揮していました。少なくとも少人数の会場の場合は、一対一の場のような効果が発生して、聞き手はヒトラーを見つめ続け、自分達が聞きたい演説内容に集中して聞いていたことでしょう。

吉田かずお先生によれば、催眠施術の際に催眠術師は対象者を誘導して催眠状態にさせつつ、自分も催眠状態にしていくと言います。私も催眠施術の際は、僅かな動きや息遣いなどを逃さぬよう対象者を凝視して軽い変性意識状態に入ります。施術側と対象者、相互の凝視が相互の催眠状態を生み出すのです。

このブログの『目を見つめ合うコミュニケーション』の記事では催眠セックスの基本である「見つめ合うこと」について述べていますが、催眠スピーチの場においても濃密なコミュニケーションは凝視による相互変性意識状態を生み出すことで完成するのです。