多くの哲学者が指摘する古典的な「幸福になる方法」

まず、幸福論は色々ありますが、多くの哲学者が見出したように、幸福は「幸福かどうか考えないこと」の中にあります。「私は幸福です」と意識して言うこと自体が、既に幸福ではないことの証とみることができます。

19世紀の英国の哲学者であるジョン・スチュアート・ミルの「自分の幸せ以外の何かに心を決めている人だけが幸せである。(Those only are happy (I thought) who have their minds fixed on some object other than their own happiness.)」が典型例ですが、幸せについて考えないでいられることが最も幸せであるというのが真理です。

人生に幸福の元となる快をもたらすのは、「快楽」か「充足」しかないことを、2021年に亡くなった米国の心理学者のチクセントミハイなどが解き明かしています。快楽は覚醒剤などに顕著ですが、摂取すればするほど得られる快は薄まり依存が始まります。「充足」は得るのに苦労が必要ですが、一度得られるようになるとずっと続きます。

この「充足」は仕事でも趣味でも何かに没頭するのが最も簡単です。スポーツや芸術などに打ち込んでいる際の没頭した精神状態は「フロー」や「ゾーン」などと呼ばれて有名ですが、そのようなことも含めて、没頭して満ち足りた思いがあれば、自分が幸福かどうかを気にする必要はなくなります。

このブログの記事の
『日本人が幸福感を得るため手法 “習いごと”』

でも書きましたが、このような没頭から得られる充足が、最も“コスパのよい快”なのです。

仕事や趣味や学習などの行為に没頭するようにすることは催眠の技術を使えば簡単にできます。それ以前に、自分が幸福であるかどうかを気にしなくなることも催眠技術で簡単に実現できます。そのように考える時、催眠技術は人々に充実した幸福な人生をもたらす本質的な技術であることが分かるのです。

☆関連書籍:『フロ-体験喜びの現象学