格差と社会、そして人々の心理について考えてみる

厚いのでなかなか時間がかかりましたが『格差は心を壊す 比較という呪縛』を漸く読み終えました。

たくさんお金を用意できると、銀行でも証券会社でも、プレミアムの色々な特典を付けてくれます。お金持ちにはお金持ちのお友達ができるのでどんどんお金を増やす方法の情報交換ができます。なので、なんにも不正も何もしなくても、お金持ちにはお金がどんどんたまる構造が社会の中にはでき上がっています。つまり、格差は開く一方であることになります。

しかし、富裕層の人々も海外ではこれ以上の格差拡大は許容・容認すべきではないという意見が出始めたと、ネットのニュースなどで見かけるようになっています。それは格差が開くと、社会全体のほぼすべての指標が悪い方向にズレ始めて、結局お金持ちもロクな目に合わないという事実に拠ります。それを延々と各種のデータから解説している一冊です。

格差が広がると、犯罪率やうつの発症率、いじめの発生、肥満の発生など、およそ想像できるありとあらゆる指標が悪化する方向に傾いていくことが示されています。文中に頻出するグラフはほとんど分布図で、多くは同じ座標の構造になっています。縦軸に格差の広がりで、散らばった点が国名です。

ちょっと面白いのは、半分以上のグラフに日本も登場しますが、例外なく格差が断然ない方の事例として登場するのです。

「日本でも格差が広がりつつある…」、「日本でも極貧に喘いでいる人がいる…」、「日本には特別な“日本型格差”が存在する」など色々な意見があり、どれにも一定の妥当性があります。しかし、世界各国の先進国に比べて、日本は1億以上の人口を抱えている中で多分ダントツに格差の無い国であるとこの本を読むと確信ができます。

格差による慢性的な社会生活上のストレスが様々な問題の背景にあると言われています。ストレスは自律神経の支障を引き起こします。その緩和・解消の方法として、格差そのものの社会政策的な解消と共に、催眠技術はもっと注目されてよいように思っています。

そして、催眠技術なら書名にある「比較という呪縛」さえ消し去ることができるのです。