目を見つめ合うコミュニケーション

よくある子供のしつけの一つに、「目を見て話を聞きなさい」と言うものがあります。目を見て聞く態度は、真剣な態度と話者に感じてもらえるメリットの他にも、大きなメリットがあります。

話者の目を見続ける状態が続くと、それは、代表的な催眠誘導手法の一つである“凝視法”の効果が発生していることになります。常時、変性意識状態と言われる子供なら、効果は尚更です。講演を聞くとか会議の席などでも話者を見つめ続ければ、その話の中身が無意識に書き込まれていくことになります。あくまでも、話者の論点がきちんとまとまっていればと言う前提付きですが、メモを取ることなく、話の趣旨や骨子を理解・記憶することができるでしょう。

自分が話者になるケースなら、聞き手にも目を見て聞くことを促して、話す内容はポイントを絞り、指示語・暗示語をうまく組み合わせて入れれば、事実上の催眠誘導と暗示を行なっているのと同じになります。聞き手の無意識にこちらの話の内容を書き込むことができます。さらに、その状態で聞き手に簡単な質問を投げかければ、前回の記事にある“催眠面接”の原理と同じになりますから、相手は嘘の答えを言えません。

考えてみると、このような目を見つめる行為は色々な場面で応用されています。鏡を見つめて自分に語り掛ける自己催眠の簡易手法は非常にポピュラーです。セックスの場面でも、互いに目を見つめられる体位を続けると、(特に女性の)快感が非常に深くなることが知られています。有名なポリネシアン・セックスがまさにその典型です。

「目は心の窓(/鏡)」と言う言葉も、「目くばせ」と「セックス」の両方の意味を持つ「目合い(まぐあい)」と言う表現も、昔から知られたとても的確な表現だったと分かります。