計画をせずに直感に任せる行動判断 (1)OODA LOOP

朝鮮戦争で米軍はF-86戦闘機、ソ連軍・中国軍はMiG-15戦闘機を主力として航空戦を行ないました。F-86はMiG-15に比べ、加速・上昇・旋回性能の総てが劣っていたにもかかわらず、戦闘結果は米軍の撃墜された割合がソ連軍・中国軍の10分の1という大差でした。これを米空軍のボイド大佐が分析し、決定的な勝因は操縦士の意思決定速度の差にあったと結論づけました。その際の意思決定のプロセスをまとめたのが、OODA LOOP です。

「観察(Observe)」、「情勢への適応(Orient)」、「意思決定(Decide)」、「行動(Act)」。
この四段階を高速で回すと言われています。さらに「暗黙の誘導・統制」が発生することで「意思決定」のプロセスが無くなる方が理想的で、意思決定は「経験が浅いときにのみ必要とされるにすぎない」とされています。つまり、事前の計画もなければそれに従った現場での意思決定もなく、実践結果の検証もないことになります。そして、この行動モデルは、あらゆる分野に適用可能であろうと言われているのです。

勿論、戦闘機の操縦士が最低限の操縦の訓練しか受けていず、おまけに事前の作戦もたてられてない中で出撃すれば、仮にその場で意思決定をしたとしても大敗を喫するであろうことは、素人でも分かります。つまり、OODA LOOP を回すには、実践者の非常に高いレベルの熟練が必要であることが分かります。

この熟練の結果、意識的な判断ではなく無意識の素早い判断が「情勢への適応」と同時に行なわれるのが理想であるということなのです。熟練の状態になれば、無意識の中には当たり前の処理回路ができ上がります。その結果、「直観」が湧いたことさえ意識できないレベルで無意識の判断が為され、理想的な行動が発生し、その結果に対して、またすぐに「情勢への適応」が為されて次の行動が瞬時に繰り出されることの繰り返しが「ループ」として表現されているのです。

無意識による直感が最適な答えを出すと言われていますが、そのためには事前の膨大なインプットが必要です。そのインプットが無意識の中で化学反応を起こしながら定着するのを、催眠技術で速めたり目的に沿ったものにしたりすることが可能なのです。

★参考記事:『無意識の膨大な処理能力
☆参考書籍:『OODA LOOP(ウーダループ)