米国スタンフォード大学の心理学者ウォルター・ミッシェル博士が1968~1974年に行なった「マシュマロ実験」は有名です。653人の4~5歳の子供にマシュマロを一つ見せて、「このマシュマロは今すぐ食べてもいいよ。けれども、もし15分間食べないで待てたら、もう一個マシュマロをあげよう」と伝えて、子供の行動を別室から観察したのでした。結果、二個のマシュマロを貰えたのは全体の4割だったと言います。
驚くことに、この実験は1984年に追跡調査が行われて、子供達のその後の学業成績との相関が見出されたのです。SATと呼ばれる米国の大学入試試験の総合得点が、合計点で平均約210点、マシュマロを二個貰った子供達の方が高かったのです。SATの合計点の満点は2400点なので、一割近くの差が出ていることが分かります。そして、幼少時のIQよりも我慢強さの方がSATの点数に大きい影響があると判明しました。
さらに、この追跡調査は2011年にも60人に対して行なわれ、脳の、依存症に関係する部位(腹側線条体)や、誘惑を抑える部位(下前頭回)の活性度合いにおいて違いが確認されています。面白いのは、4~5歳の時に、マシュマロを食べずにいて二個貰えた子供達の多くは、根性で我慢したと言うよりは、マシュマロを見ないような位置で、他のことをするなどして気を紛らわせる方法を選んでいたと言うことです。
子供を当たり前に我慢できるようにすることは、財産を残すよりも遥かに大事なことと分かります。そして、仮に4~5歳にタイミングを逃しても、催眠技術なら、その“我慢する気持ち”を無意識に植え付けることがいつでもできます。つまり、対象者の人生を大きく変える力を与えられるのです。
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