自己催眠で気持ちを切り替える“換気”方法

内臓の中で唯一意識的に動かせるのが肺です。普段は無意識のままにしている呼吸を、意識的に肺の動きを変えて、ゆっくりさせたり、深くさせたりすることができます。つまり、呼吸は、無意識と意識の制御が重なっている唯一の臓器の肺で行なう行為なのです。

内臓全体は体の内外の刺激に対応して、協調しながら動いています。つまり、意識的に肺の動きを制御し、それに協調する内臓全体の状態に間接的に影響を及ぼすことができることになります。

そのメカニズムは、呼吸をゆっくりとしたものに整えると、自律神経の副交感神経が優位になって、緊張が解け、血流量も代謝も増え、臓器も正常に機能するようになる形で働くと考えられています。

他者催眠の場面で吉田かずお先生は、ラポール形成さえきちんとしていれば、ほぼ誰でも催眠誘導できるほどシンプルな吉田式呼吸法をよく用います。それは対象者に5秒吸って10秒吐くという、深くゆっくりとした呼吸を意識させることによるものです。

吉田ヒプノロジー研究所の田中は、それを自己催眠に用いています。目を閉じて呼吸を整え、「息を吐くときに悪い感情が体の中からすべて出ていく。息を吸うときに外から良い感情が体の中に入ってくる」と、気持ちの入換えのイメージを頭に描くのだそうです。呼吸を整えることで、不安など色々な負の感情を消し去り、気持ちを整える、“換気”とでも呼べる手法です。

自己催眠と言うと最もシンプルなのは、就寝のタイミングに暗示を入れるものですが、この“換気”は場所や時間帯や姿勢の制限がほとんどない便利な自己催眠法だと思います。