吉田かずお先生の催眠技術の考え方、吉田式催眠観では、催眠を掛けるにあたって最も重要なことはラポール形成であるとされています。
ラポールはいろいろな解釈がされていて、共感や信頼感を対象者に抱かせることとされていることが多いようです。吉田式催眠観においては、さらに意味は広く、対象者が(敢えて言うなら共感や信頼感を持たなくても)「取り敢えず、この人物に催眠を掛けられても仕方ない」といった受容や、諦めの気持ち(諦念)のような感情を抱くことも含まれています。
催眠施術の場面のみならず、目的を持ったコミュニケーション全般においてラポール形成は重要です。たとえば、各種のカウンセリングの場や、職場での部下や後輩の指導などの場面でもラポール形成は非常に重要です。営業の商談の場でも同様のことは言えます。
ラポール形成の方法について、こうした各種のコミュニケーションの場面で課題を感じている方々から尋ねられることも増えています。
『人は見た目が9割』というベストセラーがありましたが、外見的な第一印象を最低限非常識ではないレベルにすることは基本的留意点の一つです。その延長線上で対人の場面での最低限のマナーも留意すべきでしょう。傾聴などのテクニックを待つまでもなく、自分本位の話の展開にすべきでもありません。
これらを踏まえた上で、ラポール形成の軸となる構造は「類似性」×「権威性」だと言われています。対象者が親近感を感じるような服装や言動、共通の話題などが「類似性」です。「権威性」は催眠施術なら催眠技術そのものや、対象者が抱いている課題などについて、知識や経験を持っていることの提示などが、これに当たります。
この二つの要素が組み合わさって、ラポールが形成されるのです。
催眠技術のレッスンで、催眠技術について語れるようにする練習を行なうことがありますが、これも「権威性」を示すことでラポール形成がしやすくするためのことです。
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