スポーツ選手の催眠活用法

催眠技術の広い応用範囲の話をしていて、「スポーツ選手がするメンタル・トレーニングも、催眠のようなもんですか」と尋ねられました。私はアニメーションと呼ばれるタイプに近いダンスを少々やったぐらいしか、スポーツをやり込んだ経験がありませんが、関連する本を読むと、催眠技術によって実現できる効果が幾つかあるようです。

最初に思いつくのは「練習に集中できること」です。「集中力を上げる」と言うのは、吉田かずお先生の催眠CDシリーズでもヒットしたタイトルです。スポーツの本番よりも、長く辛く成果が見えない練習の過程でこそ、集中力を上げることの意味があります。

次に、「筋力の制約を外すこと」が考えらえます。大脳新皮質の前頭連合野46野は筋肉や骨を保護するために、本来筋肉が本来持っている力を50%程度に制限していると言われています。催眠状態になると、この46野が不活性化して、筋肉のリミッターが外れます。「火事場の馬鹿力」状態です。

そして、本番では、「本番までの間のベスト・パフォーマンスを本番で再生すること」も重要です。ダンスでも、何度も練習して“カラダが覚えた振付”を考えもせずに踊れて当たり前です。これは、大ヒット・コミック『黒子のバスケ』でも有名になった「ゾーンに入った状態」のことです。

必ずしも「催眠」と呼ばれてはいなくても、スポーツ選手は間違いなく催眠技術を活用しているのです。