催眠の書籍を見ると、「一般に、催眠がほとんどかからない人が2割ぐらいいて、逆に深催眠まで行けるのは2割ぐらいしかいない」のような割合が書いてあることがあります。
催眠のプロセスは、大きく誘導、暗示、覚醒の三ステップから成ります。かかる、かからないは、誘導段階の問題です。では、誘導とは何かと考えると、「対象者を変性意識と呼ばれる、無意識に暗示を書き込める心理状態に導くこと」です。この変性意識は、別に催眠技術に拠らなくても、普段の生活の中で誰でもなっています。
風呂に浸かってゆったり何も考えない状態も、集中して言葉などを意識せずパソコンに入力をしているような状態も、変性意識だと言われています。変性意識が誰しも起きることならば、催眠も誰しもかかるはずです。
吉田かずお先生は「催眠がかからない人間などいない。かかりたいと思わせていないから、かからないだけだ。ラポール形成は最も大事な催眠のプロセスなのに、それをしていないから、誘導できないケースが発生しているだけだろう」と言います。
確かに先述の割合の根拠を調べてみると、スタンフォード大学での実験のデータのようです。催眠実験で多数のサンプルに十分なラポールを形成するのは困難であった可能性はあります。「催眠技術の適用ができない人はいない。適用されたくなくなっている人がいるだけ」と言うのがどうも本当のようです。
☆参考書籍:『あなたは、なぜ、つながれないのか: ラポールと身体知』
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