直感的判断は正しいのか。「正しい判断をする催眠」を考える

先日、私が催眠セミナーで「なぜを考える習慣」をつけて論理思考の基礎を植え付けた参加者が、「これで、頭脳明晰になりますね」と言っていたので、ちょっと、補足説明をしました。
「昔、星の軌道を細かく分析した結果、地動説は生まれました。それを聞いても、多くの人は、空の動く天体を見て直感的に天動説を信じ込んでいました。「なぜ」を考える習慣だけでは、動く星をそのままに理解する天動説の世界から抜け出ることはできません」。

世の中の多くの物事は、その発生要因が複雑で予測困難です。過去のデータを眺めても、未来はやや不確実ではなくなるだけです。そんな中で、賢いと皆が考える人が、自分の直感に従った正しい判断を下すことは、非常によくあります。ここで注意を要するのは、「すべての直感的判断が優れている」のではなく、「賢い人だから、その直感が信じるに値する」と言うことです。

無意識は、意識的な思考より数十万倍処理能力が高いスーパーコンピュータです。複雑に絡み合う多種多様な事柄を勘案して、結論を“直感的”且つ“直観的”に用意します。しかし、どんなに優れたスーパーコンピュータでも、処理するインプット情報やプログラムが誤っていれば、誤ったアウトプットを出します。無意識も、後天的に獲得した情報や処理パターン、さらに遺伝的に持っている情報処理パターンなどを総合して判断するので、それらに誤りが多ければ、判断を誤ります。

「なぜを考える習慣」と「色々な物事を学ぶ好奇心」がセットになった人には、正しい処理パターンと正しい情報の両方が蓄積されて行きます。その蓄積された処理パターンを無意識が使って、正しい“直感的判断”がなされます。頭脳明晰で「正しい判断ができる催眠」の構造は、二種類の暗示からできていることが分かるのです。