企業組織の重要な知的資源 暗黙知を考える

企業の現場において、長くそこで働く人々持つコツやカン、ノウハウなどが、その会社が発展する上で重要なカギになっていることがあります。このマニュアルで表現が難しい“知恵”や“知識”、“スキル”は、仮にマニュアルで表現しても膨大な量になってしまいます。一橋大学の野中郁次郎博士らは、これを「暗黙知」と名付けました。

暗黙知の事例としてよく紹介される「自転車の乗り方」でも、確かに、非常に複雑なことを意識せずに行なっていることが分かります。意識せずにできることは、適応的無意識が行なっていることです。適応的無意識は意識の数十万倍の処理能力のスーパーコンピュータですから、その特定処理パターンを記述しようとしたら膨大な量になるのは当然です。

暗黙知は言葉に表現しにくいが故に、多数の人に教え広めることが非常に困難です。組織内の暗黙知(=コツやノウハウ、価値判断基準など)の教育方法には、「シャドウイング」と言う手法が使われたりします。先輩社員に影のように付きまとい、暗黙知を自分に写し撮る手法で、昔ながらの徒弟制度やカバン持ち制度と原理的には同じです。しかし、シャドウイングでも多数の人間に一気に暗黙知を教えることは困難です。

吉田かずお先生の得意な「美女催眠」は、対象者の女性に、ドラマなどの好きな女性キャラをよく見ておいてもらい、「その女性と同じように素敵になる」と暗示を入れ、そのキャラのようにしてしまうものです。

この美女催眠の原理を使えば、暗黙知の共有化は、一気にできそうです。たとえば、営業マンの売込みテクニックは、多くの場合、暗黙知ですが、それを動画に撮って、他の営業マンに何度も観てもらい、集団催眠でそれを定着させれば、暗黙知の大量同時教育が可能になることになります。

無意識に蓄えられた膨大な知恵やスキルの財産。それを円滑に扱う方法は、無意識を制御する催眠技術なら、簡単に実現するのです。

☆参考書籍
 『知識経営のすすめ: ナレッジマネジメントとその時代
 『「学び」で組織は成長する