26000人の実験で分かった “幸福の秘訣”

経営コンサルタントでもあり、20代まではプロのマジシャンでもあった心理学者のリチャード・ワイズマンが26000人もの膨大な数の対象者に行なった幸福の秘訣を調べる実験について、『ハイパフォーマー 彼らの法則』に描かれています。もともと、19世紀後半に哲学系の心理学者、ウィリアム・ジェームズによる「人は楽しいから笑うのではなく、笑うから楽しくなる。怖いから逃げるのではなく、逃げるから怖くなるのだ」と言う仮説を実験によって検証したものです。

26000人はいくつかのグループに分けられ、「感謝の気持ちを持つようにする」、「幸せな記憶を蘇らせる」など数種類の幸せを感じる方法論を試してもらった上で、一週間後に幸福度を測定したのです。そのグループの一つの「毎日数秒ずつ笑うこと」にした人々が最も幸福度が高かったと言います。

ワイズマンは、この原理を「アズイフの法則」と呼んでいます。“as if”は「まるで~のように」と言った意味です。つまり、「特定の感情を持とうと思うなら、まるでその感情を持っているかのように振舞えば良い」ということで、笑顔を浮かべることが多くなった対象者達は、幸福感を持つようになったと言うことなのです。

当然ですが、引っ込み思案で伏目がちな態度を意識的に取り続ければ、どんどん消極的な人間になっていくことでしょう。良い方も悪い方も、「アズイフの法則」は成立します。これは、事実上、意識的な行動によって、自分の無意識をコントロールする原理ですので、自己催眠の主要な方法論と考えるべきだと思います。