後催眠暗示(こうさいみんあんじ)の三大要素

ショーでパフォーマンスを見せる演芸の催眠は、対象者を変性意識状態に誘導し、「自分の名前を忘れる」などの暗示を入れて、その結果を確かめては解除するのを繰り返し、その後に覚醒させて終わります。日本で催眠術師の技術として紹介されるのはこのような演芸を目的とした催眠のケースが多く、覚醒後も効果が残り続ける後催眠暗示について詳しく書かれた書籍はあまり見つかりません。

精神医学と外科学の両分野の臨床に催眠技術を適用した米国の催眠の権威であるダブニー・ユーウィン博士の本を読んだら、後催眠暗示の三大要素が書かれていました。

1)暗示を実行しようとする脅迫
2)原因の健忘(考えの起源に対する言語的な健忘)
3)行動の合理化

2番は忘却暗示を容れなくても、後催眠暗示の文章をはっきりと思い出せないケースが多いことは私も気づいていました。暗示が発動するとき、なぜそうするのかが説明できないケースもよくあります。それでも尚、理由を尋ねると、かなり無理のあるでっち上げの理由を答えるケースもよくあります。これが3番です。

1番は初めて自覚しましたが、言われてみるとそうだなと思えます。説明には暗示の「考えに抵抗することはできますが、不安の襲来と言う代償を払うことになります」と書かれています。暗示の内容に逆らおうとすると、何か落ち着かなく、「これじゃダメだ」と言う気分になるのも、よく聞きます。

尋ねられれば説明できたことではありましたが、きちんと明確な知見にまとめることができて良かったです。

☆参考書籍:『催眠をはじめるときに知っておきたかった101のこと』ダブニー・ユーウィン著