“遺伝子”面から考える入りやすい暗示

人間の色々な形質の決定において遺伝の影響が非常に大きいことが、最近の研究によって判明しています。遺伝以外の要素は後天的な要因ですが、それらは研究者によって二分類されています。家庭などの環境の中で家族のメンバーを類似させるような環境を「共有環境」と呼び、家族のメンバーをひとりひとり異ならせるような環境を「非共有環境」と呼んで区別しているのです。

遺伝要因・共有環境要因・非共有環境要因が絡み合って、人間の形質が創り上げられていますが、その影響力の割合は形質によってまちまちです。たとえば…

■学業成績
遺伝要因:55% / 共有環境要因:17% / 非共有環境要因:29%
■言語性知能
遺伝要因:14% / 共有環境要因:58% / 非共有環境要因:28%
■音楽
遺伝要因:92% / 共有環境要因:0% / 非共有環境要因:8%
■外向性
遺伝要因:46% / 共有環境要因:0% / 非共有環境要因:54%
■アルコール依存症
遺伝要因:54% / 共有環境要因:14% / 非共有環境要因:33%
■外国語
遺伝要因:50% / 共有環境要因:23% / 非共有環境要因:27%
■スポーツ
遺伝要因:85% / 共有環境要因:0% / 非共有環境要因:15%
■記憶
遺伝要因:56% / 共有環境要因:0% / 非共有環境要因:44%

適応的無意識は人間の知覚や運動、思考などの総てを支配していますが、そのプログラミングの無視できない割合が遺伝によって決まっていることが分かります。催眠技術で再プログラミングをすることは、後天的に個別に影響を与える要素ですから、非共有環境要因の一つと見做せます。つまり、非共有環境要因の影響割合が多い要素ほど、暗示が受け容れられやすいと考えることができるのです。