身を焦がす恋心を鎮めるというご依頼

もう数年前のことですが、自分の息子の恋人を好きになってしまい、頭から離れないという男性のお悩みに対応したことがあります。この男性は妻帯者で息子の恋人に対して一方的な恋愛感情が湧いてどうにもならなくなったと言います。理屈では家庭どころか家族関係そのものを根底から破壊するような感情と分かっていて、それを表に出すこともないままにいることができていますが、その状況が非常に苦しく辛いというご相談でした。

実はこのような「道ならぬ恋心」を抑え込んでいて苦しいというお悩みは比較的頻繁にいただきます。いわゆる一般的な不倫といった家庭外の相手に対するものの場合に比べて、問題の重大さ故に本人の苦悩がより大きく、催眠施術のご相談に思い至るのかもしれません。また、人に明かすことができないという強い抑制心が、余計に対象の人物を意識するようになってしまう要因であることもあるようです。

以前、このブログで『「もっともっと彼を好きになりたい」という依頼』という記事を書いたことがありますが、このタイプのご依頼は恋愛感情を巡る真逆のご依頼です。

息子の交際状況について何かを知るたびに妄想が膨らみ、息子がその交際相手と別れることになった後も、ずっとその女性のことが頭から離れず、「今すぐ逢いに行きたい」とふと駆り立てられるほどの、熱烈な恋愛感情でした。

合計3回の施術で段階的に強烈な恋愛感情を自分で躱して薄めてもらうことができました。1度目の施術では「深呼吸をして気持ちを鎮める」定番の暗示を入れて、強い恋愛感情の湧き起りに対処してもらえるようにしました。2回目では恋愛感情をいたずらに否定するのではなく、「人を好きになることは当たり前のことだ。大好きな気持ちは変わらないので、今会わなくても大丈夫」と気持ちを先延ばしにする暗示を書き込みました。

自己催眠も併用していただきつつ、少々間を空けて、深催眠が実現するタイミングを待って3回目を実施しました。3回目は「人を好きになることはよくあることだ。だから彼女だけが特別ではない」と本人にも相談の上、暗示を書き込んでみました。施術が終わって覚醒させた瞬間から表情が変わり、すっきりとした様子でご帰宅し、その後、彼女に対する奔流のような恋愛感情が湧かなくなったというお話でした。

汎用的な解では勿論ありませんが、「好きになってはいけない」という本人の呪縛を敢えて緩めて、彼女への想いを薄めて行ったことが功を奏したようです。

☆参考書籍:『自分と他人の許し方、あるいは愛し方