使い勝手の良い誘導法「吉田式呼吸法」

吉田かずお先生が誘導の際によく用いる方法を、私は「吉田式呼吸法」と呼んでいます。催眠術のマニュアル本には見つからず、私の知る限り、吉田先生のオリジナルのようです。

マニュアル本に記述されている様々な誘導法に比べて、「吉田式呼吸法」には優れた部分が多いと私は思っています。

方法論が非常にシンプルで、比較的短時間で対象者を変性意識状態に導けますし、場所の制約もあまりありません。比較的明るい場所や多少騒音のある場所でも、脱力できる体勢さえ確保できれば、全く問題なく誘導ができます。また、対象者に触れることもほとんどないので、男性が女性にかける場合でも、問題が起こりにくいのもメリットで、おまけに道具も要りません。

けれども、「吉田式呼吸法」の最大の特長は、呼吸に意識を集中させる方法なので、呼吸をしている限り、誰でも必ず誘導できるということです。それは多分、呼吸が「無意識と意識の制御が重なっている唯一の臓器の肺で行なう行為である」ことによるものだと思います。つまり、肺を介して無意識をコントロールすると言う原理です。

私がよく「10カウント逆進、暗示の後に5カウント順進」と呼ぶ、段取りでカウントを進めながら、リラックスする感覚をイメージさせて行くだけで、誘導と覚醒が完了します。吉田先生の催眠の考え方では、ラポール形成が非常に重視されますが、その上で、「吉田式呼吸法」を使って、私も誘導に失敗したことがありません。

今度私が出す「吉田式催眠観」についてまとめてみた電子書籍にも簡単に記述しましたが、そのメリットの多い誘導は、もっと知られていいものと思っています。