似ている言葉:「催眠」と「睡眠」

「催眠」と言う言葉は、明治期にhypnotism と言う言葉が日本にもたらされた際に、訳語として考えられた言葉です。漢字で「眠りを催す」と書き、「催眠」が寝ている状態の一種だとする誤解を生む原因となりました。紹介された「催眠状態」を寝ているものと考えて訳語を作ったせいだと言われています。

もともと、hypnotismも、ギリシャ神話の眠りの神ヒュプノス(Hypnos)に由来する言葉ですので、原語の概念自体に「睡眠」からの連想が感じられます。この言葉は、19世紀に催眠の考え方を確立したジェイムズ・ブレイドが考案したと言われており、最初はneuro-hypnotism (神経催眠)と言う用語だったようですが、その後に略されて、hypnotism に落ち着きました。

対する「睡眠」は「睡」・「眠」の両文字ともに、「ねむり」と言う意味です。最も簡単な自己催眠の方法論は、就寝時に睡眠に陥る前に暗示を入れるというものですが、これは、覚醒状態から睡眠状態に至る過程で、誰しも変性意識状態を経る原理に拠っています。その意味では「催眠」は「睡眠」の一歩手前ぐらいの見方もできなくありません。

私が催眠をかけている人の中にも、深い変性意識に入って、いびきを立て始める場合があります。一見寝入っているようですが、「次に私が“五つ”と言って手を叩くと、すっきりと目が覚めますよ」などと覚醒の暗示を入れると、瞬時に目が覚めるので、寝ているのとは、全く異なる状態であると考えられます。

先日、或る異業種交流会に行った際に、「睡眠研究屋の石川さん」と紹介されてしまいました。吉田かずお先生は、「催眠は睡眠とよく勘違いされる」と言っていたのですが、私は今回が初めての体験でした。先生の言うことをまた一つ実体験することができました。

追記:
「睡眠研究屋」ではありませんが、「催眠」を使って自分自身の「睡眠」を大きく改善したことがあるので、「睡眠研究屋」も考えてみたら、ほんの一部、嘘ではありません。その際の経緯はこちらの記事をご覧ください。

『50年以上の習慣を一掃! 家族も驚愕の催眠の成果』