このサイトの『運命の人を決める遺伝子』で、スイスのベルン大学の動物学者、ヴェーデキント博士によるTシャツ実験について紹介しました。その結果、女性は免疫型の違う男性をその匂いから無意識に選ぶことができることが分かっています。
ところが驚くことに、その実験を再度行なって、別の事実を発見した科学者たちがいます。オーストラリア・マッコーリー大学の研究チームは2019年に、異性愛者の女性82人に異性愛者の男性の匂いと顔を評価してもらうTシャツ実験を行なったのです。参加した女性は18歳~35歳で、42人が性的パートナーなし、40人が特定の性的パートナーありでした。
男性の方は89人参加していましたが、ランダムに3人のパートナーがいない男性と3人のパートナーがいる男性を選んで、Tシャツの匂いを女性に嗅いでもらったのです。実験結果は驚くべきものでした。自身の性的なパートナーの有無に全くかかわらず全ての女性は、性的パートナーのいない男性の匂いの方を強く感じると答えたのです。つまり、「女性はパートナーがいる男性といない男性の匂いの違いを嗅ぎ分けられる」のです。
進化のプロセスで生き残りやすさを考えると、自分に持てるものを集中させてくれる男性を選べる女性の方が繁殖に成功しそうです。研究チームは、パートナーがいない男性ほど男性ホルモンであるテストステロンが強いとの研究結果や、テストステロンのレベルが高いほど、男性は体臭が強くなるという研究結果と組み合わせて、今回の驚きの結果を解釈しています。
では、男性に仮にパートナーがいてもいないように信じ込む暗示を入れてみたらどうなるでしょうか。暗示は脳に働きかけることで、ホルモンの分泌も調整することができます。多分、パートナーがいない男性と同様の匂いの強さになるものと考えられます。「ビッグな態度をとる方がモテる」というナンパ師もいますが、実はパートナーがいないと思い込むだけで、モテるようになるのかもしれません。
☆関連書籍:『人はなぜ不倫をするのか』
最近のコメント