勉強や仕事に集中したいというご要望を受けて催眠施術をすることは、比較的頻繁にあるのですが、映画を観る前に催眠術によって映画を集中して鑑賞できるようにして、映画鑑賞を没入感を以てできるようにする…というのは、あまり聞く話ではありません。
ネットのニュースで偶然見つけたのですが、今年1月下旬にスウェーデンで開催されたヨーテボリ映画祭で、20分にわたり観客に催眠術をかけた後、長編映画を見てもらうという試みが行われたという話がありました。
催眠をかけたのはフレドリック・プレストという催眠術師です。彼は、催眠誘導装置でよくある大きな渦巻きをスクリーンに映し出して、観客に対して、疑似催眠的な動作をさせた上で、カウントを使って誘導を行なったようです。
観客は長編映画にも拘らず集中して鑑賞ができ、強い没入感が発生したケースが多いようでした。ただ一方で放心状態になってしまったという感想もあったようです。
映画が終了し、エンドロールが流れ始めると、プレスト氏が再び登場し、カウントで覚醒を行なったようです。この映画祭は一風変わった鑑賞体験を提案することで有名で、昨年はコロナ規制に対応するために、孤島の灯台で1週間にわたる上映会をたった1人を対象にして実施するということだったようです。
原理だけで言うと、3D上映や4D上映を高い設備投資も行なわず実現するようなことになっていて、今回の試みでそこまで意識したかどうか分かりませんが、たとえば、先に作品の愉しみ方を無意識に書き込んでおくようなこともできるだろうと思います。
しかし、それがどのような催眠暗示の内容であれ、こんな多人数が集まる映画祭と言う場で、催眠をかける企画が成立するような、催眠に関する社会認識があること自体に驚かされます。
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