映画『スパゲティコード・ラブ』の承認を渇望する13人の若者像から、全5回のシリーズ記事で、承認欲求に向き合う人生の選択肢を考えてみます。三つ目の生き方の選択肢は、承認欲求に振り回されている状態から、敢えてマズローの欲求五段階の階段を一段降りることです。
方法は簡単です。他人に認めてもらえるか否かが気にならないぐらいに必死に生きる道を選ぶことです。第二段階は安全安心の欲求です。その欲求が満たされない限り、その上の欲求が湧くことはないということに一応なっていますから、第二段階に欲求をシフトさせれば、安全にかかわる欲求が満たされなくなって、承認欲求はどうでも良いことになります。
自ら何か大きなリスクを取って、必死にそのリスクを抑え込もうとすれば、リターンは大きく得られるでしょうし、余計なことを考えている暇はありません。
極端に言うと、カンボジアなどの地雷掘りのボランティアを想像してみましょう。同僚が毎日小さなミスから吹っ飛んで存在ごと消えていく中で、とても「今日も私の投稿に誰かいいねを押してほしい」とか「ほとんどリアルで会う機会のない友達が既読スルー」などと言っている心の余裕はないでしょう。
場合によっては命の危険を伴うような危険な作業に従事したり、何らかの高度な技術を身につけるべく何らかの集中した修行やトレーニングに身を投じたりするなども、このジャンルに含まれることでしょう。
集中したトレーニングや作業は「フロー」と呼ばれる(催眠状態と同じ)変性意識状態を生みます。このフロー状態は、米国の心理学者セリグマンによって、「快楽に耽ること」に並ぶ人間の愉しみの二類型の一つとして位置づけられていますから、承認欲求に絆されなくなるだけではなく「ハイ」な精神状態を維持することができる可能性があります。
☆関連書籍:『ポジティブ心理学の挑戦 “幸福”から“持続的幸福”へ』
【シリーズ・リンク】
●承認欲求と向き合う(0) マズローの欲求五段階説から考えてみる承認欲求
●承認欲求と向き合う(1) 承認欲求をそのまま満たす。
●承認欲求と向き合う(2) 承認欲求を間接的に満たす。
●承認欲求と向き合う(3) 欲求の段階を下げて承認欲求を忘れる。
●承認欲求と向き合う(4) 欲求の段階を上げて承認欲求を超える。
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