「ネガティブな心理の持つメリットとして、つぎのようなものをあげることができる。
① ネガティブ気分は記憶をよくする
② ネガティブ気分は対人認知の正確さをもたらす
③ ネガティブ気分はモチベーションを高める
④ ネガティブ気分は対人関係を良くする
⑤ ネガティブ気分は説得力を高める
意外に思うかもしれないが、どれも心理学の実験により実証されている」
大評判の書籍『伸びる子どもは○○がすごい』の中の一節です。さらに別の箇所には、有名な「防衛的悲観主義」の説明も書かれています。
「心理学者のレノムとキャンターは、過去のパフォーマンスに対する認知と将来のパフォーマンスに対する期待によって、楽観主義・悲観主義をもとにした4つのタイプ分けをしている。その中のひとつである防衛的悲観主義とは、これまで実績があるにもかかわらず、将来のパフォーマンスに対してはネガティブな期待をもつ心理傾向を指す。いわば、勉強でも仕事でも、これまでそれなりの成果を出しているのに、今度はうまく行かないかもしれないと悲観的になるタイプである。
一般に、防衛的悲観主義者は成績が良いことが多くの研究により証明されている。悲観的だからこそ慎重になり、用意周到に準備する。将来のパフォーマンスに対して不安があり、楽観的になれないことが、成績のよさにつながっているのである」
さらに、このような「不安」を成功に結びつけている状態に対して、「自信を持て」とポジティブな発想を吹き込むと、かえって成績が悪くなることさえ実験的に証明されているというのです。
安易に自信を持たせることや物事を楽観的にとらえるように薦めることは、相手の人生を害する行為である可能性があること分かります。落ち込んだ気持ちに対する催眠施術のリクエストを受けることはよくあります。しかし、催眠の暗示は無意識に深く書き込まれますので、過剰な楽観主義を与える暗示を入れない注意を要するのです。
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