社会心理学者ロバート・チャルディーニが有名な著書『影響力の武器』で挙げている交渉上の影響力を向上させる6大要素は、言い換えれば、人間がすんなり従いやすい要素と言うことで、催眠を掛けた際の暗示文を非常に強力にすることができます。なぜなら、それらは私たちの(適応的)無意識の典型的処理パターンだからです。
○ 返報性
○ コミットメントと一貫性
○ 社会的証明
○ 好意
○ 権威
○ 希少性
の6つです。これらは、私達が日常の買い物で、つい買ってしまう商品の条件を考えると、簡単に理解できます。
たとえば、無料サンプルを貰ってしまっていると、ついその商品を買ってしまいたくなるのは、恩を感じてしまっているからですから、「返報性」の原理です。アンケートで「この商品が好きだ」と回答を一度してしまうと、他商品よりこの商品を買おうとしてしまうのは、「一貫性」によるものです。ステマ臭いと疑っていても、多くの好意的レビューがあると自分もそれを買おうと思うのは「社会的証明」を感じ取ったからに違いないでしょう。
さらに、商品そのものには関係ないのに、その企業がどこかの発展途上国に寄付をしたなどと聞くと、つい商品を買って応援しようと思うのは「好意」ですし、「NASA新開発の○○テクノロジーの…」と聞くと、つい良さ気に聞こえるのは「権威」によるものです。「限定生産品」とタグがつくだけで、どこにでも売っていそうなお土産品でも買ってしまうのは、「希少性」の原理です。
このように6大要素は、人を操るための原理として日常生活の色々な面に適用されています。この6大要素の存在を知らない催眠術師も多数存在しますが、これほど強力で、これほど日常的な、無意識がほぼ無条件に従う原理を、催眠の施術に使わない手はないでしょう。
☆参考書籍:『影響力の武器[第三版]: なぜ、人は動かされるのか』
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