後催眠暗示…。定着のコツは“問題意識”

後催眠暗示(こうさいみんあんじ)は、催眠状態から覚醒した後にも効果を継続的に持ち続ける暗示のことです。一般の催眠術師の方々は、後催眠暗示が長く続いても一週間ぐらいなどと説明していることが多いようですが、吉田かずお先生の催眠の考え方では、半永久的に持続するということになっています。

たとえば、私自身も50年近く続いたうつぶせ寝の習慣を自己催眠で解消して以降、何年経ってもうつぶせ寝に戻ることはありません。このような状態を指して、吉田先生は「後催眠暗示は半永久的に続く」と仰っています。

ただ現実問題として入れたはずの後催眠暗示がきちんと定着しないことは起り得ます。うまく行かない場合の理由を検証してみると、どうも、対象者のその課題や問題に対して「解消したい」というニーズが十分に強くなかったことがあるように思えます。

たとえば、ダイエットを例にしてみましょう。対象者が「ダイエットができなきゃ死ぬ」ぐらいの思いつめようで、放っておいても摂食障害になりかねないような勢いなら、ダイエットの暗示も強烈に入ります。それが「カレシからブタって言われてへこんだわ」ぐらいでも、かなり強烈に入ってしまうでしょう。

「ダイエットできたら、モテて良いだろうなぁ」ぐらいの人だと、数回重ねて入れるなどしないと半永久的な定着はちょっと怪しくなってきます。「催眠?え~。何の暗示を入れてもらおうかなぁ。じゃあ。どうしよう。そうだ。ダイエットできる…にしてもらおう!」ぐらいのノリになってくると、数日間じわっと効果を維持するのが精一杯程度になってしまうかもしれません。

もしかすると、後催眠暗示の上手い催眠の技は、「なるほど。ダイエットを入れたいんですね。ダイエットは確かに大事ですよ。人生がガッツリ変わりますよね」と事前に伝えるなどして、対象者の暗示に対する問題意識をより強くしておくことで実現しているのかもしれません。