スマホで進む脳の記憶力退化

スマホの過剰な利用による脳の退化・老化の問題が色々な国での研究で明らかになって来ています。最近売れている書籍『スマホ脳』では、

「ある実験では、被験者のグループに美術館を訪問させ、何点かだけ作品を写真撮影し、それ以外は観るだけにするよう指示した。翌日、何枚も絵画の写真を見せたが、その中には美術館にはなかった絵画も混ざっていた。課題は、写真が美術館で観た絵画と同じかどうかを思い出すことだ。
判明したのは、写真を撮っていない作品はよく覚えていたが、写真を撮った作品はそれほど記憶に残っていなかったことだ。パソコンに保存される文章を覚えようとしないのと同じで、写真に撮ったものは記憶に残そうとしないのだ。脳は近道を選ぶ」と書かれています。

それが文章であれ画像であれ動画であれ、外部記憶装置であるスマホに入れると、「入れた」という事実自体が脳に「覚えていなくても良い」という前提を与えてしまうので、記憶の回路が発動しなくなってしまいます。これを日常的に繰り返すと、脳は記憶をしようとする努力をどんどん省き続けることになります。筋力などと同じで、脳も使われない能力はどんどん衰えて行きます。つまり、記憶力が全体的に退化していくのです。

仕事の場面でも日常の場面でも、メモ代わりに何でも写真に撮っている人がいます。インスタによく挙げられている料理の写真もそれを自分で何が良いかを考えたり言葉で表現する努力をしたりしなければ、「記憶しよう」という脳の回路の刺激は全然発生しません。

スマホは便利な「道具」であるのは間違いありませんし、全面的に使うのを止めると生活が成り立たなくなるでしょう。けれども、一定量、自分の脳にも負荷をかけることをしなければ、脳は本来の年齢的に自然な老化を待たず急激に退化して行きます。

デジタル・ダイエットやスマホ断ちなどの習慣づくりは、言われるほど容易ではありません。催眠の技術を用いれば、スマホを手放し脳を使う習慣作りも容易なのです。

☆参考書籍:『スマホ脳