「傾聴」という技術が流行しています。まず相手の言いたいことの主旨はもちろんのこと、相手の心境やそういう発言に至った経緯なども含めてきちんと受け止めるように聞く技術のようです。それが流行する背景には、人間同士のコミュニケーションのありかたの純化が進んでいるのではないかと思えます。
AIを含めたICT技術の進展は日々留まる所を知りません。人間に対して単に事実を伝えるだけなら、システムや機械が決まったパターンで当たり前に伝えることができる時代になりました。相手が言いたいことの主旨を受け止めるだけなら、ウェブ上の入力フォームに書き込んでもらえば、その事実関係をAIが読み取ったりすることまでできます。合理的で論理的な当たり前の事実を単純にやり取りするだけなら、システムや機械ができるようになりつつあるということです。
そんなコミュニケーションのありかたの変化の中で、人間に求められるコミュニケーションの役割は、相手の感情やニーズ、発言の背景事情まできちんと読み取るコミュニケーションのあり方です。それに応じた対応ができることも、今後、接客業のみならず、人間同士が接点を持つビジネスの場面では間違いなく重要になって行くことでしょうが、まずは、相手が言語・非言語で発信していることを正しく受け止められなければ話になりません。
そのような「聴く技術」の向上は以前以上にビジネスの現場でも求められるようになりました。その育成はマニュアル的に教えて何とかなるものではないので、計画的な実現は困難であるように思えます。催眠技術なら、「相手の話を聞いていると、どんどんその先を聞いてみたくなる。相手の気持ちに合わせてどんどん話を聞いてみたくなる」などの暗示を入れてその技術を実現することが、かなり容易なのです。
☆参考書籍:『マンガでやさしくわかる傾聴』
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