他者催眠の上達が進まない原因

それが宴会で見せる芸としての演芸催眠であっても、対象者の悩みや問題に対応するヒプノセラピーであっても、他者催眠は施術対象者のいろいろな状況やいろいろな要望に合わせて施術をしなくてはならないことから、施術の技術の研鑽が非常に重要です。

自己催眠なら、自分にかけるだけですから、失敗しても基本的に誰からも訴えられたり責められたりすることはありません。しかし、他者催眠では、その場でうまく行かなければ、先延ばしややりなおしのチャンス自体がもう来ない可能性が高いことでしょう。

他者催眠技術の研鑽には、色々な知識のインプットを重ねることも大事ですし、他の催眠術師の技術を見聞きしたり真似たりすることも、とても重要です。また、自分の施術体験を(それが上手くっても失敗しても)振り返ってみてさらなる改善策を考えてみることもとても有意義です。そのような意識的な努力を重ねなければ、他者催眠が上手くなって行くことはないでしょう。

しかし、この努力をしないで済ませたくなる大きな罠があります。他者催眠の上達を阻む最大の要因は、「催眠にかからない人もいる」という幻想です。人間は誰しも日常的に変性意識状態になります。ですから変性意識の一種である催眠状態にもならない訳がありません。「催眠にかからない人がいるというのは、下手な催眠術師の言い訳だ」というのが吉田かずお先生の考え方です。

「かからない人もいるから、かからなくてもしょうがない」と思えば、言い訳ができてしまって、それ以上、かけようとすることを諦めてしまいます。そうではなく、「どうやったらかけられるか」を常に意識して、色々な知識や技術のインプットやアウトプットを重ねなければならないのです。

☆参考書籍:『本気に催眠術師になりたくなったあなたへ 催眠五年目の感想文 上巻