「一日一回服用すれば不安を軽減し、満足感を増強する薬に関する記事を読んだとしよう。あなたは服用するだろうか? さらに、その薬にはさまざまな副作用があるが、それらは自尊心や共感、信頼感を増強するなど、良いことばかりであると想像してみよう。記憶力さえも改善する。そして最後に、その薬はすべて自然なもので、お金はまったくかからない。さて、あなたは服用するだろうか?」
多分、当てはまる自覚症状がない人でも、この問いに「服用する」と応えるでしょう。文章を読む限り断る理由が見つかりません。これはJ・ハイト博士による『しあわせ仮説…』に書かれている文章です。続きには、「その薬は存在する。瞑想である」と書かれています。
マインドフルネス瞑想がブームになっていますが、瞑想の効果・効能が明確に語られることはあまりありません。「魂の修行」的なイメージや「心身のリラックスと調整」と言った効果が語られることがほとんどです。
ハイト博士は、太古の宗教から現代哲学まで俯瞰して「しあわせ」について考えるこの書籍の中で、瞑想の効果が生まれる原理にも言及しています。
「瞑想には多くの種類があるが、すべてに共通しているのは、非分析的な方法で注意を集中するよう意識的に試みると言う点である、(中略)最初はとんでもなく難しい。最初の数週間は失敗に繰り返し直面することで、象使いに謙虚さと忍耐を教える。瞑想の目的は、自動的思考プロセスを変化させることであり、それによって象を手なずけることである。そして、手なずけたことの証は、執着(愛着)が打ち破られることである」。
文中の「象使い」は「意識」で、「象」は「無意識」のことです。言うことを聞かない象を操れる象使いとなることが瞑想の目的なのです。吉田式催眠観によれば、瞑想も催眠技術の一つの形です。催眠技術は、遥か昔から「しあわせ」をもたらす一つの手段だったのです。
最近のコメント