齋藤孝の『呼吸入門』に彼の塾で行なっている英単語の暗唱トレーニングが紹介されています。
「まず十五個ぐらいの単語を表にしておき、掛け声と共に、それを一息で暗唱するように声に出す。最初のうちは、二つか三つ言ったところで息を吸って、「えーと、えーと」と詰まってしまいます。
それを二回、三回、四回と繰り返すうちに、だんだん長く続けられるようになってくる」
このように十五個程度の単語を単語と意味の組み合わせにして一息で言えるようにするところまで反復練習をするとのことです。息を少しずつ吐く練習を重ねることで、集中力が増し、脳の働きも良くなり、記憶力も上がるのだと説明されています。
吉田かずお先生の吉田式呼吸法でも、呼吸をゆっくりと行なうことが催眠誘導の基本技術として用いられています。呼吸を意識的に(つまり集中して)ゆっくり行なうことで、「リラックスと集中」を同時に実現する「弛緩系誘導」の条件を作り上げるのです。
誘導が行なわれて催眠状態(=変性意識状態)になれば、意識の働きが抑制され、言わば「雑念」が入らない状態になりますから、齋藤孝が言うように集中力が上がり、記憶力も高くなるということなのだと考えられます。
「集中力を上げたい」は催眠施術に対してリクエストが比較的多い定番暗示ですが、それは催眠術師による催眠施術以外の場でも広く行なわれているのです。
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